第十六話 青年その三
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「酒屋です。そこで最高の美酒を見つけまして」
「それを買って飲むのね」
「場所は池のほとりで」
場所についても述べるのだった。
「そこで宴を開こうと思っています」
「いいんじゃないかしら」
女はすぐに老人に言葉を返してこう述べた。
「それで。池のほとりで一杯ね」
「一杯どころじゃないけれどね」
子供の声は今から楽しそうであった。
「もうね。何杯でもいけるから」
「そう思って樽は二つを考えています」
そしてそれはもうわかっていたと言わんばかりの老人の言葉であった。
「それでは。今から行きましょう」
「肴はどうする?」
男はそれについても忘れていなかった。やはり酒には肴が必要だ。
「何かあるのか?」
「はい。そのお店に既にそうしたものも売っていますので」
「じゃあそれを買えばいいわね」
「その通りです。ここで店にいる人間を食べるというものは」
「そんなものはいらん」
男は人間に関しては一言で言い捨てた。
「人間はすこぶるまずい。あれは食い物ではない」
「そうそう。人を食べるのなんてゲテモノだよ」
子供も顔を顰めさせてそれは拒むのだった。
「それはね」
「だからです。それはありません」
老人もまたそれは否定するのだった。
「普通の食べ物ですよ。御安心下さい」
「そうか。それなら後でな」
「はい、後で」
「一緒にね」
こんな話をしてその声の主と別れる。また一人魔神が日本に来たのだった。
チョンチョン達を全て倒し子供とまた会った牧村は次の日未久の店にいた。そうしてカウンターに座りそこでロシアンティーを飲んでいた。これはいつも通りであった。
表情も変わらない。相変わらず何が面白くないのかといった感じの憮然とした顔である。その彼に対してマスターが声をかけてきた。
「何か今日は一段と無愛想だね」
「そうか」
「わかるよ。オーラでね」
笑ってこう彼に告げた。
「何となくだけれどね」
「少し考えることがあった」
彼はロシアンティーのカップの持つ部分に指をかけて呟くようにして述べた。
「昨日な」
「何だい?学校の講義でかい?」
「それとはまた違う」
声に表情を出さずに述べた言葉だった。
「それとはまたな」
「違うっていうんだね」
「そうだ。また違う」
またこう言うのだった。
「それとはな。ただ」
「ただ?」
「こういう時もあるか」
カップから手を離して述べた。
「後で少し静かになるのもな」
「何かよくわからないけれどそういう時もあるね」
マスターもそれは認めた。
「うちの未久だっていつも明るいわけじゃないしね」
「そうは思えないが」
今のマスターの言葉に目を向けて懐疑的な声で返した。
「あの娘は。いつも」
「ははは、それ
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