第十五話 子供その十五
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「それで言ってきたのだがな」
「そうだったか」
「魔神なのはわかっていた」
それは既に把握していた。
「クマゾッツだったな」
「それの配下の魔物だ」
「そうだな。中南米ならな」
既にそこまで話はわかっていた。
「あの魔神の配下だ」
「その通りだ。話がわかっているならだ」
「闘うだけだ」
二人の結論はもう出ていた。それでであった。
それぞれ剣と鎌を出す。そのうえで敵を待ち受ける。すぐに前から顔だけの異形の怪物が無数の姿を現わしてきたのであった。
「チョン、チョン」
「チョン、チョン」
その不気味な声と共にだ。髑髏天使はその声を聞きつつ身構えるのだった。
「近くで聞くと余計に変わった声だな」
「死者の鳴き声だ」
死神はこの不気味な声をこう表現した。
「これがな」
「死者の鳴き声か」
「そうだ。何故かというとな」
彼は右手に大鎌を持っていた。そうして左手でそのハーレーを操っている。そのうえで魔物を今にも断ち切らんと構えているのだった。
「チョンチョンは元々は死者の霊だ」
「死霊というわけか」
「近いな。それも怨霊に近い」
「だからこそ魔物になったというわけだな」
「話がわかるな。そうだ」
見れば顔だけではなかった。二つの耳で飛んでいた。その耳は普通のそれよりも遥かに巨大でそれを羽ばたかせて飛んでいるのだった。さらに異様な姿だった。
「だから私も今度は思う存分闘わせてもらう」
「好きにしろ。では俺もだ」
「闘うな」
「それだけではない」
髑髏天使は身構えながら彼に告げた。
「変わらせてもらう」
「能天使にか」
「見たいと思っているだろう」
右手の剣を順手に構えながら死神に問うのだった。
「俺のその時の姿を」
「一度見たがな」
死神は静かに髑髏天使に答えた。
「それでもだ。見たいと言えば見たい」
「こちらもその方が都合がいい」
変身するということがであった。
「それでは。変わらせてもらうぞ」
「うむ」
髑髏天使はすぐに両手を顔の前でクロスさせそのうえで全身に力を込めた。するとそれによりすぐにあの能天使になるのだった。背中の翼も生え左手にもサーベルが出た。
チョンチョン達はもうすぐ側まで来ていた。口で彼に噛み付こうとする。しかし髑髏天使はその魔物達を両手に持っている剣で次々に切り裂くのだった。
右手の剣を上から下に振り下ろす。すると魔物の首が両断されおぞましい断末魔の顔と共に姿を消した。青白い紅蓮の炎となりそのうえで消えたのだ。
「消え方は他の魔物と同じだな」
「そういうことだ」
彼の横では死神が右手だけで己の大鎌を振るいチョンチョン達を切り裂いていく。縦に、横に、縦横無尽に振り回し彼等を赤い炎に変えていくのだった。
「魔物だからな
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