第十五話 子供その十四
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「多いな、今度は」
「今度は私も闘わせてもらう」
死神は顔を正面にやって言った。
「それでいいな」
「数が多いからか」
「その方が貴様にとってもいい筈だ」
今度はこんなことを言うのだった。
「違うか。一人や二人ではないのだからな」
「そうだな。勝手にしろ」
いいとは言わなかったがこう言うのだった。
「御前の好きなようにな」
「わかった。それではそうさせてもらう」
死神もそれを聞いて納得した顔で頷いた。
「私の思う通りにな」
「それではだ」
バイクに乗りながらだったがそれでも変身に入るのだった。両手をハンドルから離しそのうえで拳にする。そうしてそれを胸の前で打ち合わせた。
するとそこから白い光が起こり全身を包み込む。光が消えたそこにいたのは白い髑髏に白銀の鎧の騎士だった。その髑髏天使である。
「行くぞ」
右手を前にやってそのうえで手を広げてそして握り締める。そのうえで闘う姿勢に入っていた。
死神も同じだった。死神は右手を拳にしてそれを胸の前に置く。すると青白い光が起こりその中であの白く長い服に大鎌を持つ死神の姿になった。
「それではだ」
「行くのだな」
「行くまでもない」
しかし死神は髑髏天使に対して言うのだった。
「もう来ている」
「もうか」
「そうだ。見るのだ」
その前からであった。
何と無数の人の顔が来る。闇夜の中で不気味な咆哮をあげつつやって来る。髑髏天使はその無数の顔を見て思わず声をあげた。
「今度の魔物は何だ」
「チョンチョンだ」
死神が彼に答えた。
「あれはチョンチョンだ」
「チョンチョンというのか」
「そうだ。あの咆哮の声を聞いてみることだ」
今言ったのはその咆哮についてだった。
「あの咆哮をだ。聞いてみるといい」
「むっ!?」
髑髏天使は彼の言葉を受けて実際にその咆哮を聞いた。すると確かにその顔の魔物達は吠えていた。チョンチョン、と。奇怪な声であった。
「確かにな。これはな」
「聞こえたな」
死神はあらためて髑髏天使に言ってきた。
「この咆哮が」
「ああ、確かに聞いた」
髑髏天使もまた死神の言葉に冷静に頷いた。
「この声。確かにな」
「これが名前の由来にもなっている」
ここまで話したうえでチョンチョンの名のことも話した。
「これがな。奴の名前の由来だ」
「そうだったのか。声がか」
「中南米の魔物だ」
今度はその出自のことだった。
「あれはな」
「中南米か」
「会ったか?」
また牧村に対して問うてきた。
「あの魔神に」
「魔神・・・・・・子供にか」
「やはり会っていたか」
死神は今の髑髏天使の言葉からそれを悟ったのだった。
「既に」
「自分から来てきた」
彼は言った。
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