第十五話 子供その十一
[8]前話 [2]次話
「そこで終わりだったのか」
「しかし君はもう能天使じゃ」
また彼の話に戻った。
「この調子でいけばな」
「力天使もか」
「いやいや、もっと上じゃよ」
それには留まらないというのだった。この言葉は本気であった。
「上に行けるぞ、このままいけばな」
「その智天使や座天使にか」6
「熾天使にものう」
それもだというのだ。
「なれるかも知れんな。しかもすぐにじゃ」
「実感は湧かないが」
「今はなくともなる時はなるものじゃ」
博士はこうも言うのだった。
「その時になればのう」
「そういうものじゃ。それではな」
「とりあえずはだ。俺はやれることをやる」
これは確かに心に定めていた。
「それだけだな。今はな」
「そうか」
「そうだ。だから今の魔神が何をしても」
「闘うだけじゃな」
「そのつもりだ。それではだ」
ここで話を変えてきたのだった。
「戻るか」
「うむ、そうじゃな」
話が終わったとみてこうしたことになった。今は二人は話を終えまた牧村のサイドカーで戻った。今の話はこれで終わった。だが終わったのは彼等の中でだけだった。
あるビルの屋上においてだった。周りに同じかそれより高いか低いかのビルがそれぞれ建っている。その中で彼等は集まり話をしているのだった。
「お久し振りですね」
「そうだね」
あの子供だった。彼は今老人達の中に入ってそのうえで話をしているのだった。
「本当にね。長い間会っていなかったけれどね」
「お互いにね。会えなかったから」
今度は女が子供に言ってきた。
「仕方ないと言えば仕方ないけれど」
「うん。あの時の髑髏天使は強かったから」
話は遥かな過去に遡った。
「そのままやられちゃったね」
「そうだ。そしてだ」
男もまた口を開いてきた。ビルの屋上にお互いにそれぞれ十字の形になってそのうえで向かい合って話をしているのだった。
「この時代の髑髏天使もだ」
「みたいだね」
子供は男の今の言葉に対しても頷いた。
「かなり強いね」
「もう能天使だ」
男はその階級についても述べた。
「もうな」
「確かまだ髑髏天使になって四ヶ月も経ってないよね」
「はい、そうです」
老人は子供の今の問いに答えてきた。
「まだそれだけです」
「早いね」
その時間を聞いての率直な言葉だった。
「それだけでなれるなんて」
「しかも強いわよ」
女も言ってきた。
「かなりね。私達が闘ってきた中では」
「あの我等を封印した髑髏天使」
男の言葉だった。
「あれに匹敵するか」
「そこまで強いとは思わなかったよ」
子供はここで彼を知っているかのように述べた。
「そこまでだったんだ」
「はい。その通りです」
老人もまた述べたのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ