第十五話 子供その七
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「ああした男性アイドルというのもな」
「悪くはないな」
牧村も別に彼等は嫌いではないので博士の言葉に対して素直に答えた。
「俺は世代的にはSMAPだがな」
「SMAPか。定番じゃな」
「博士はあれか。ジャニーズからか」
「その頃から応援しておったよ」
世代が完全にわかるやり取りだった。もっとも博士は世代どころではない年齢なのであるが。
「もうのう。長いのう」
「三十年以上か」
「そうじゃな。うちのも好きじゃしな」
「奥さんもか」
「九十過ぎてあれでミーハーなのじゃよ」
ほっほっほ、と顔を綻ばせながらの言葉であった。
「中々元気でよかろう」
「九十過ぎてジャニーズか」
牧村はこのことにかなり思うことがあったがすぐに思いなおした。考えてみれば今目の前にいるこの博士は百歳である。しかも男である。それでジャニーズが好きなのだからさらに、であった。
「それもいいか」
そしてこう考えることにしたのだった。
「それもな」
「そうじゃろ。それでのう」
「ああ」
「嵐の新曲を買いたいのじゃよ」
またこのことを彼に言ってきた。
「それで店まで連れて行ってくれんかのう」
「構わないが」
別に断る理由もなかった。博士の申し出に頷いたのだった。
「それじゃあ。行くか」
「うむ。ついでに昔のCDも探すか」
博士はこうも言った。
「しぶガキ隊のものでもな」
「それも好きだったのか」
「だからジャニーズは全部好きじゃ」
博士はまた述べた。
「全部のう。好きじゃからな」
「だからか。それにしてもな」
「何じゃ?」
牧村が言葉の調子を変えてきたのですぐに問うた。
「何かあるのか?」
「いや、凄いグループ名だと思ってな」
彼が今度思ったのはこのことだった。ジャニーズ事務所のタレントのグループ名についてである。
「しぶガキ隊か。思えば凄いな」
「あそこの事務所は全部グループ名が凄いじゃろ」
「男闘呼組もだったな」
ジャニーズのバンドグループである。
「あれもかなりだったな」
「たのきんトリオはどうじゃ?」
「少なくとも一度聞いたら二度と忘れられないレベルだ」
牧村は実に率直にそのグループ名について思うことを述べた。
「絶対にな」
「キンキキッズとかのう」
「あの事務所のグループ名はどれもかなりだ」
牧村はまた述べた。
「ステージ衣装もかなりだがな」
「ラメ入り大好きじゃからな」
それがジャニーズのステージ衣装の特徴でもある。これが実に目立つ。さながら闇夜の中に咲き誇る食虫花の様に映えている。
「郷ひろみの衣装も凄かったのじゃ」
「どういったものだったんだ?」
「黄緑のラメ入りの上着にシャツじゃ。想像できるかのう」
「容易にな」
流石に今の話には
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