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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
無印編
第十六話 迷える思い
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止めろ。
 今はそれを考える時ではない。
 心を覆え、剣で、剣で、剣で、硬い剣で覆い隠せ。

「彼女が一体どれほど悩んでるかはわからんがな……」

 そう言い残して、俺は踵を返す。




side アリサ

「……言われるまでもないわよ」

 士郎がいなくなった方に向かって静かにつぶやく。

「士郎君」

 すずかも士郎のいなくなった方を見つめてる。
 なんなのよあいつ。

「俺から言えるのはただ一つだ。
 待ってやってほしい。彼女が自分で言える時まで。
 そして、その時優しく迎えてやってほしい」

 そう私達に向けた言葉は何であんなに悲しそうで、寂しそうで、まるで懇願するかのように。
 そして、私やすずかでも、勿論なのはにもでなく、自分自身に向けた苦笑。

 たぶん士郎は一番今のなのはや私達の事を理解しているのだろう。
 それと同時に、一番苦しんでるのかもしれない。

 温泉のときだってそうだ。
 あのなのはに絡んできた女の人。
 あの女の人の背中を追っていた時の士郎の眼。
 忘れるはずがない。
 すぐそばにいるあいつがはるか遠くに見えた。
 感情を感じさせない眼。

 そう、それからだ。
 あいつと帰り道で別れる度に、このまま消えて二度と会えなくなるような錯覚を感じるのは。
 だけどあんたが言うまで私も聞かない。
 でも黙っていなくなるような事だけは絶対には許さないんだから。




side アルフ

 私は扉の前でじっと立っていた。
 ほんとならばもう少し後に一回戻ってくる予定だったのだけど、士郎とあの白い子の三つ巴という想定外の状況の報告も兼ねて、一旦戻ることにしたのだ。
 今回のジュエルシードは二つ。

 今の状況から見れば十分すぎる戦果だとは思うけど、あのババアがどう判断するかはわからない。
 でも今度は助け出せる。
 そのために士郎も武器を貸してくれた。
 赤い布に包まれた剣を握りしめる。
 フェイトには怪しまれたけど誤魔化したから気が付いていないはずだし、私と直接会ってないババアが気がつくはずもない。

 次の瞬間、鞭を打つ音とフェイトの悲鳴が響いた。

「やっぱり!!」

 フェイトに手を出した。
 赤い布を剥ぎ取り、剣を鞘から抜き、鞘を投げ捨てる。
 黒くて見惚れるような刀身。
 それを振り上げて

「うりゃあっ!」

 力任せに剣を扉に叩きつける。
 と

「あれ?」

 異様に手応えが軽い。
 それに剣の腕もない私が振った所為か扉には傷一つ入ってない。
 士郎の奴、鈍らでも渡しやがったのか?
 それとも私が使いなれない武器に間合いを間違ったか?

 そんな事を思ったら
 
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