第十五話 子供その一
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髑髏天使
第十五話 子供
ダムでの闘いを終えた翌日。牧村は博士の研究室に入った。そしてそこで博士に対してその昨日の闘いのことを全て話したのだった。当然能天使のことも。
「ふむ、また一つ階級が上がったのか」
「そうだ。今度は風か」
「風だったか」
博士は彼の言葉を聞いて呟いた。
「そこまではまだわかっていなかったのう」
「天使の階級によってその力が違うのはわかっていたが」
「うむ。大天使になると翼が生え」
まずはそれであった。
「権天使は炎じゃった」
「そして能天使は風だ」
「それぞれな。操れる力が違うな」
「しかも動きが変わった」
牧村はこのことも博士に話した。
「権天使の時よりもその動きは素早いものになった」
「そうなのか」
「そして攻撃の威力もだ。どちらもな」
「あがったか。それは能天使になった時だけではあるまい」
「そうだな」
これは実はこれまでにも実感していることだった。
「大天使になった時も権天使になった時もな」
「そうじゃろうな。階級があがれば天使はその力が全く違ってくるのじゃよ」
「そうなのか」
「天使の世界はのう。あれで色々とややこしいのじゃ」
博士の言う天使とはここではキリスト教世界の天使である。その九つの階級を持つ天使達だ。
「階級が一つ違えばそれで天と地程の差がある」
「そうした話は確か前に聞いたな」
「そうじゃろう?とにかくそういうものだからじゃ」
博士は言うのだった。
「階級が一つあがればそれで全く違う」
「確かにな。最初に変身した時とは最早」
「違うじゃろ。そういうものじゃ」
「これで四つめの階級か」
「やはり異常に早いぞ」
博士が次に言うのはその階級の上がり方だった。
「普通はここまでなるのにそれこそ十年かそこいらはかかるものだったらしい」
「過去の髑髏天使達はか」
「そうじゃ。しかし君はじゃ」
牧村を真剣な目で見据えながら述べる。
「四ヶ月か?まだそこいらじゃろ」
「そうだな。三ヶ月半といったところか」
彼も髑髏天使となってからの時間を計算しながら答えた。
「ここまでなるのにな」
「普通はそこまで十年か」
「文献によるとな」
またしても文献のことが話に出て来た。見れば今も博士の机の上には一体何百年経ったかわからないような古い書がある。他には何か木を束ねてそれを縄で綴ったものまである。
「大抵はそこまでかかっておる。中には天使のままの髑髏天使もおった」
「天使のままか」
「大天使になるのも相当な時間がかかるものなのじゃよ」
あの翼を生やした姿のことである。
「しかし君は違う。ここに至るまでほんの三ヶ月半じゃ」
「ああ
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