第十四話 能天その十八
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様を倒すことになった」
「どうやら。私は慢心していたようね」
今になってそれを実感したグールだった。
「貴方のことはわかっていたつもりだったけれど」
「確かに権天使までなら敗れていた」
これは髑髏天使自身が最もよくわかっていることだった。実際に能天使になるまでは防戦一方というのもおこがましい状況だった。それは否定しようがなかった。
「しかし。俺は勝った」
「まさかここで能天使になるなんて」
流石にグールもそれは考えもしていなかったのだ。
「それも。風を使えるなんて」
「運が俺に味方したということだ」
こう述べたのだった。
「そしてそれにより俺は勝った」
「見事だと言っておくわ」
今まさに息絶えんとする声で言ってきた。
「私を倒したことは事実だから」
「その言葉受け取っておく」
「行くといいわ。勝者が闘いの場から去るものよ」
グールの身体もまたあの青い炎が包もうとしていた。その巨体が徐々に青く燃え上がっていく。
「貴方がね」
「そうさせてもらう。それではな」
「このまま次々に強くなっていくのね」
グールはその身体を急激に青く燃え上がらせながら最後の言葉を出した。
「どうなるか見てみたい気もするけれど敗者にその資格はないわね」
これを最後の言葉にして青い炎に変わった。闘いに勝利した髑髏天使は上に飛び水から出た。そうしてサイドカーの上に着地すると牧村来期の姿に戻った。そうしてそのサイドカーに乗りダムを後にした。
その彼をダムの門の橋から見る男がいた。それは死神だった。彼は去っていく彼のサイドカーを見ながら一人呟くのだった。
「あと五つか」
一言こう呟いただけで姿を消した。後には誰も、そして何も残ってはいなかった。ただ静寂があるだけだった。死闘の後の静寂が。
第十四話 完
2009・4・3
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