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髑髏天使
第十四話 能天その十五
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「ですが私は」
「違うというのだな」
「私は普請を呼ぶ魔物」
 ここでまた己のことを語った。
「そしてそれを自在にこの声で壊すことも可能ですので」
「幾らその声を出しても力尽きることがないというのだな」
「はい」
 はっきりと答えてきた。
「その通りです。それでは」
 また声を放ってきた。目には見えはしないがそれは確かに髑髏天使に対して迫る。髑髏天使はその音をまた炎の壁で防いだ。だがそれと共にまた気力を使ってしまった。
「またそれで防がれましたか」
「役に立つ」
 自分で述べる髑髏天使だった。
「思ったよりもな」
「ですが。それが何時まで続くか」
 見越した笑みだった。
「見ものですね」
「そうだな。確かに何時までも続けてはいられない」
 このことは髑髏天使が最もよくわかっていることだった。
「どうするべきか」
 迷っていた。早いうちに決めなければ敗北するのはこちらだ。それもわかっている彼は内心焦りを覚えた。しかしここで。狸力の姿をよく見たのだった。
(足は四つ)
 まずはそれだった。
(そして首は短い)
 次にこのことを。
(確かに上に顔は向けられるがそれでも)
 彼の姿を見て何かを分析していく。それは長いようでいて一瞬だった。その一瞬のことを終わらせてそのうえで彼が取った行動だ。
 再び飛んだ。そのまま上を飛翔する。狸力はその飛翔する彼を見てその紳士的だがそれでいて楽しむような声をあげたのだった。
「またですか」
「空を飛んでいることか」
「はい。またなのですね」
 その楽しげな声で彼に言ってきた。
「また飛ばれましたね」
「如何にも」
 彼もこのことを否定しない。
「だが。ただ飛んでいると思うな」
「ほう」
「貴様のことはわかった」
 飛びながらこう狸力に対して告げる。
「よくな」
「では。見せてもらいましょう」
 言いながら後ろ足で立ち上がった狸力だった。
「私のことをどうおわかりなのか。今」
 その立ち上がった姿勢で真上に顔を向けて声を放つ。それは今の髑髏天使には当たりはしなかった。彼は空中をとんぼ返りしそれで音をかわしたのだ。
 だが狸力はさらに声を放つ。それは何度も何度も続けられる。しかし髑髏天使は空を飛ぶことによりそれ等の攻撃を全てかわしていく。しかし狸力は余裕だった。
「そう飛ばれていても状況は変わりませんよ」
「何故だ?」
「その翼で飛ばれるのも」
 彼は言う。
「気力を消耗されていく筈です。つまり最後には大地に降り立ちざるを得なくなる」
「それもわかっているのだな」
「如何にも」
 ここでも自信に満ちた狸力の声だった。
「しかし私は」
「これもまたその通りだ」
 今回も髑髏天使は認めた。
「こうして飛ぶだけでも気力は消耗す
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