第十四話 能天その八
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「今までは。どうだったんだ」
「参考書を何冊も買って一回やったら捨てて」
未久はその今までのやり方を兄に説明した。
「そうしてたんだけれど」
「それは駄目だ」
牧村の返答は一言だった。
「それでは何にもならない」
「そうなの」
「学校の教科書と塾の教科書、それと参考書と問題集が一冊ずつで充分だ」
「それだけなの」
「これでも多いな」
言ったすぐにこうも考えたのだった。
「これでもな」
「多いの」
「四冊ある」
確かにこれで四冊だった。
「これを何回もやっていけばいい。予習復習でな」
「それで成績があがるのね」
「同じことを何回もやっていくのがいい」
またこう妹に話すのだった。
「それで成績は確実に伸びる」
「わかったわ。じゃあやってみる」
未久は兄のこの考えを受けることにしたのだった。
「そういうふうにね」
「やってみるといい。これは勉強だけでないしな」
「学校の勉強だけでないの」
「何でもだ。フェシングやテニスでもだ」
彼が髑髏天使として闘う為に行っている二つのスポーツのことだった。
「こちらもだ。何回も同じことをやってことだ」
「それで強くなるの」
「何千何万と素振りをして」
彼はフェシングでもテニスでも実際にそれをやっているのだ。
「そして走り筋力を鍛える」
「それを毎日なのね」
「それで強くなっていく。そういうものだ」
「つまり。毎日基礎を積み重ねていくってことなのね」
話を聞いているうちに兄の言っていることの本質が見えてきたのだった。
「そういうことよね。やっぱり」
「その通りだ。わかてきたみたいだな」
「まあね」
兄の言葉に対して頷いた。
「わかったわ。じゃあこれからは教科書や参考書を何度も読んで書いて問題を解いて」
「そうしろ。そうすればいい」
兄もまた妹に対して再度告げた。
「成績をあげたければな」
「わかったわ。それでお兄ちゃん」
兄の話が終わったところで話題を変えてきた。
「私はそれでいくつもりだけれど」
「ああ」
「お兄ちゃんはそれでいくのね」
言いながらゲームの画面を見ていた。
「そのやり方で」
「そうだな。やっぱりこれがいい」
戦いは地形を利用してそのうえで相手の弱点をつき敵を減らしていっていた。戦局は当初の数の差を覆し遂に牧村の軍が優勢になってきていた。青が画面に多くなっていた。
「地形と弱点か」
「そういうことよ。それを使って勝つのがシュミレーションじゃない」
「そうだったな」
言われてようやく思い出したという感じだった。
「頭を使ってか」
「私は基礎を鍛えなおすけれどお兄ちゃんはそれを思い出すことになるみたいね」
「そうだな。今までそれはわかっていたつもりだったが」
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