第十四話 能天その六
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「それであとは敵それぞれに苦手な相手っているじゃない」
「ああ」
「そういうこと考えて戦ってみたらどうかな」
「地形と相性か」
「そうよ。私シュミレーションは恋愛ゲームしかしないけれど」
この辺りはやはり女の子であった。
「それでも。恋愛ものでも相性とかあるし」
「だからか」
「そうよ。だからそれでやってみたら?」
彼女の提案はこうであった。
「そういうこと考えてね」
「そうだな。なら」
まずは敵の歩兵ユニットを見る。これがとにかく敵の主力だった。
「歩兵には装甲車だ」
「それなのね」
「装甲車には戦車。戦車は歩兵にも回し」
言いながら次々と動かしていく。
「対空車両は歩兵だな。歩兵は全体のサポートにして戦車には航空機、対空車両はやはり航空機だ」
「何か色々あるのね」
「そうだな。そして山や森林を抑えて護りを固め」
そこまで考えて動かしだした牧村だった。
「これで護りながら戦うか。三倍の数でもな」
「それでどう?」
兄が動かし終えたのを見てまた問い掛けてきた。
「結構違ってきた?」
「かなり楽になった」
実際に画面での戦局は彼の軍にかなり有利になってきていた。赤い軍の動きが止まろうとしていた。
「これで凌いで数が減ったところで」
「反撃ね」
「そのつもりだ。そうか、こうして戦えばいいのか」
「何でも工夫よ」
未久は笑って兄に言ってきた。
「何でもね。工夫しないと」
「そうだな。確かにな」
「ゲームは工夫して面白くなるんだから」
まさにその通りだった。未久の言葉はここでは正論そのものであった。
「そうしないとね。ところでお兄ちゃん」
「今度は何だ?」
「最近また身体つきがよくなってきてない?」
兄の身体を見ながらの言葉だった。
「筋肉モリモリってわけじゃないけれど何か発達してきてるって感じ?」
「発達か」
「服の上からそう見えるのよ」
こう述べながら兄の身体をさらに見る。
「何かね。やっぱり身体動かしてるからよね」
「そうだな」
ゲームの画面を見ながら妹の言葉に応える。
「やはり。そのせいだな」
「そうよね。筋肉ってモリモリになるわけじゃないのね」
「そうした筋肉を作ることもできる」
牧村はいつもの冷静な声で妹に述べた。
「そうしたのもな」
「そうなの」
「だが」
しかしここで牧村はまた言うのだった。
「そうした筋肉は役に立たない」
「ああ、そうらしいわね」
未久も牧村のその話はすぐにわかった。すぐに頷くことができた。
「ボディービルとかの筋肉よね」
「そう、それだ」
やはりそれであった。牧村も未久もその筋肉のことを話していたのだ。
「ああした作られた筋肉は意味がない」
「そうよね。スポーツの筋肉じゃな
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