第十三話 衝突その十七
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「既に知っていると思う。その炎も万能の力は持ってはいない」
「万能ではないか」
「この世界に万能の力なぞありはしない」
うわんはこうも髑髏天使に言うのであった。
「それは覚えておけ。いいな」
「それが貴様の最期の言葉か」
「俺を破った男への言葉だ」
だからだというのである。
「見事だ。だから覚えておくことだ」
「わかった」
うわんのその言葉に対して上から静かに頷く。鎧はその炎の輝きを受けて紅く染まっている。
「それでは。覚えておく」
「俺の言葉はこれだけだ」
うわんの声が笑ったように聞こえた。
「それではな」
うわん自身もまた紅蓮の炎の中に包まれていく。その形の炎が起こりそうして彼は消え去ったのだった。髑髏天使はうわんとの闘いにも勝利を収めた。
闘いが終わり地に降り立つ。彼は今消えようとしている炎を見ていたがその彼の前に炎を挟んで現われた者がいた。それは彼だった。
「また炎の力で倒したのだな」
「貴様か」
髑髏天使は彼の目を見た。それは死神だった。彼はあの白い服に大鎌を持ったあの闘う時の姿で彼の前に立っているのだった。
「やはり。倒したか」
「俺が倒すとわかっていたようだな」
「それだけの力がある」
髑髏天使のそれとはまた違う感じの言葉だった。冷静というよりは冷徹な言葉であった。
「貴様にはな」
「俺にはか」
「もっと言えば貴様の炎にだ」
その言葉が先程のうわんのそれと同じものになっていた。
「それはある」
「そうか。あるか」
「その通りだ。だが言っておこう。その炎とてだ」
「万能ではないというのだな」
「わかっているのだな」
死神は表情を全く変えることはなかった。それはさながら仮面のようであり髑髏天使のその髑髏の顔とそうした意味で同じであった。
「それは」
「当然だ。そしてそれを俺に見せたのは貴様だ」
「確かにな」
先のトンネルの中での闘いのことを受けての言葉である。
「私の氷は炎すら凍らせる」
「貴様の氷。俺の今の炎では溶かすことはできはしない」
髑髏天使は感情こそ出さないがそこから滲み出ているものは忌々しげなものだった。
「だが」
「だが。何だ」
「それでも俺は氷を破る」
「今は無理でもか?」
「何なら今でもだ」
髑髏天使の言葉に鋭さがさらに宿った。
「破ってみせるが」
「それでは今ここで闘うというのか」
「貴様が来るならばだがな」
言葉の鋭さはさらに強いものになっていく。そして死神もそれから身をかわそうとはしない。両者は互いに睨み合うようになっていた。
「その場合はだ」
「面白い。それではだ」
「やるというのか?」
「いや」
しかし死神はここでは動こうとはしなかった。一歩も前には出ない。
「それは止めておこ
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