第十三話 衝突その二
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「炎か」
「ここで使うというのか」
「周りを囲まれようとも闘い方はある」
髑髏天使はその髑髏の奥の目を光らせながら述べた。
「このようにしてな」
彼はそれにより形勢を逆転させるか少なくともある程度引き戻そうとしていた。だがそれもこの死神にとっては充分に返すことができるものだった。
「炎が来るならば」
また一人が言う。
「こうすればいい」
「むっ!?」
彼等は一斉に己に迫り来る炎柱に対して鎌を横薙ぎに振るった。するとそれによりその炎柱達が一斉に凍り氷柱となってしまったのだ。
「炎が凍っただと!?」
「私が操るのは鎌と術だけではない」
また死神の一人が彼に告げる。
「このようにして」
「氷か」
「氷だけではないがな」
こうも彼に告げた。
「だが。氷を操るのは得意だ」
「俺の炎をそれで凍らせるとはな」
「この世で凍らないものなぞない」
語るその声も氷の如きものになっていた。
「炎でさえもな」
「それは違うな」
髑髏天使は死神のその言葉を完全に否定してみせた。
「氷といえど凍らせることができぬものがある」
「ほう」
死神は彼の今の言葉に目を光らせた。
「ではそれは何だ?聞こう」
「俺だ」
彼は断言してみせた。
「この俺は決して凍ることはない。この髑髏天使はな」
「炎さえ凍らせる私の氷ですらか」
「そうだ。嘘だと言うのなら見せてやろう」
言いながらまた構えを取ってきた。
「俺が決して凍らないそのことを。ここでな」
両手の剣には今は炎を宿らせてはいない。だがそれでもその目は死神を見据えていた。
そのうえで構えている。本気で死神の氷を退けてみせるつもりだった。しかしここで死神は彼の予想に反した行動を取るのだった。
「どうやら思ったより面白い男のようだな」
「少なくともつまらない男のつもりはない」
髑髏天使の返す言葉はいつもの調子だった。
「それはな」
「では。それは今度の機会にしておこう」
死神達はこう告げて構えを解いてきた。
「今度。刃を交えたその時にな」
「闘いを止めるというのか」
「貴様もそのつもりならそうする」
こう言葉を返すのだった。
「私はな。それでいい」
「そうか。止めるのか」
「その魔物も貴様に譲ろう」
魔物に対しても言ってきた。
「倒すといい。貴様の望む通りにな」
「命を刈るのが仕事ではないのか?」
髑髏天使は構えを取ったまま一人に戻っていく死神に対して問うた。
「だからこそ俺と刃を交えたのではなかったのか」
「確かに刃は交えた」
それは彼も認める。
「しかしだ。どの魔物を刈らなくてはならないということはないのだ」
「そうなのか」
「別にその魔物でなくともいい」
彼は言う。
「だからだ。そ
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