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髑髏天使
第二話 天使その十一
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うじゃろうな。君はな」
「だが。振りかかる火の粉は払う」
 これもまた彼の本音であった。戦いは好まないがそれでも自分に及ぶ危害に対しては立ち向かいそれを払うのが彼の主義である。
「向こうから来るのならな」
「そうか」
「何かあったらまた来る」
 ここまで言うと博士達に背を向けた。
「そして何かあったらまた呼んでくれ」
「帰るの?」
「気持ちを落ち着かせてくる」
 逃げるつもりはなかった。また逃げても魔物達の方から来ると聞いていてはそれもまた無駄だとわかったからだ。道は一つしかないというわけだった。
「少しな」
「帰って来るんじゃな」
「そのつもりはなくても聞きたいことがある」
 これが今の牧村の返事であった。
「だからだ」
「そうか。ではな」
「牧村さんだったかのう」
 砂かけ婆が部屋を出ようとする彼に声をかけてきた。
「確か」
「そういうあんたは砂かけ婆か?」
「もう覚えてくれたのか」
「その格好ですぐにわかる」
 こう彼女に答えるのだった。
「それにすぐに覚えられた」
「人気者は辛いのう」
 実に自分にとって都合よく解釈する砂かけ婆であった。しかしそれはどうやら彼女だけではないようである。他の彼等にしろそうであるらしい。その証拠に。
「わしの方が人気があるぞ」
「わしもじゃ」
「やけに明るい連中のようだな」
 牧村は背を向けたままだが彼等の言葉を聞いて言うのだった。
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