第十二話 大鎌その十七
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「じゃあ。これでね」
「終わりか」
「うん。さようなら」
その小柄な身体をさらに青い炎が包み込む。
「見事だったよ」
これが最後の言葉になった。妖犬はその形に青い炎を出しそのうえで消え去った。髑髏天使はこの闘いにも勝利したのであった。
「終わったか」
炎が消え去ってから述べた。
「さて、ドライブの続きをするか」
呟きながら変身を解こうとする。しかしだった。
「まだそう考えるのは早いな」
「また来たのか」
「その通りだ」
声は彼の後ろからだった。
「魔物は一度に一人だけ来るというわけではない」
「方針が変わったのか」
髑髏天使はその声に応えながら声がする後ろに身体を向けた。
「そちらも」
「そうとも言う。貴様を倒すにあたってな」
「そうか」
その言葉を聞きながら構えに入る。今度出て来たのは壮年の男だった。黒いスーツが喪服を思わせ重厚な印象を与えてきている。
「そうするようになった」
「では次の相手は貴様か」
「如何にも」
黒スーツの男は彼の言葉に返してきた。
「俺の名はうわん」
「うわん。日本の魔物だったな」
うわんという魔物が何なのかは博士の所蔵している本から知っていた。彼も時折博士の研究室でそういうものを調べているのである。日本語のみであるが。
「確かな」
「その通りだ。百目様にお声をかけて頂いた」
あの老人である。
「そして今貴様を倒す為にここに来た」
「面白い。ならばだ」
髑髏天使は引くつもりはなかった。
「ここでもう一人倒してやろう」
「行くぞ」
応えたうわんの身体が変わってきた。黒い、まるで黒檀の様な肌になり服はそのまま僧侶の服に似たものになっていく。頭髪はなくなり何もかもが黒くなっていく。黒い大柄の僧侶の姿になったのであった。
「それがうわんの姿だな」
「如何にも」
うわんはまた彼の問いに応えた。
「俺は元々は寺にいた」
「廃寺にだな」
「その通りだ。だからこの姿になっている」
魔物の姿はその住んでいる場所の影響を受ける場合もある。このうわんがまさにそれであった。彼は廃寺にいるから僧侶の姿となったのである。
「そういうことだ」
「貴様のことはわかった。それではだ」
構えはそのまま取り続けている。
「行くぞ」
「来い」
髑髏天使の言葉をうわんも受けて立つ。
「貴様を倒す」
「倒せればな」
髑髏天使はそのまま滑空するようにして前に進みそのまま剣を繰り出そうとする。うわんもそれを受けて立つ。しかしその瞬間だった。
「待ってもらおう」
不意に第三者の声がしてきた。
「その勝負。私に預けてもらう」
「むっ!?」
「その声は」
うわんも髑髏天使もその声がした方に顔を向けた。うわんは左を、髑髏天使は右を
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