第十二話 大鎌その十六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「鉄であっても。後悔することだ」
「後悔!?」
「炎は全てを焼き尽くす」
この言葉と共だった。
「そう、全てを」
「えっ!?」
妖犬がその言葉に声をあげたその時だった。髑髏天使は己の右手に炎を宿らせた。そしてその炎を剣に及ばせそのまま槍に送ったのだ。
「炎が!?」
「貴様の槍は確かに伸縮する」
それはもう言うまでもなかった。
「それは確かに強い」
このことも認める。
「だが」
「だが?」
「それでも木であることもまた事実だ」
確かに穂先は金だ。しかもただの金ではない。魔物が特別に鋳造した金であると察することができた。しかしその伸縮する柄の部分は違っていた。
「その柄はな」
「というと」
「燃えろ」
髑髏天使は静かな声で告げた。
「座天使の炎によってな」
言葉と共に炎は槍の柄にまで及んだ。そうしてそれにより槍は瞬く間に燃え上がった。最早何をしようとも手遅れの状況になった。
「くっ!」
妖犬はその槍から手を離すしかなかった。燃えてしまってはどうしようもなかった。
その時だった。髑髏天使がさらに動いた。前に出てその左手のサーベルを左斜め下から右斜め上にかけて一閃させたのだった。それは。
妖犬の身体を切り裂いていた。鎧をも切り裂きそれにより傷を与えたのだった。彼が妖犬の向こう側に出たところでその動きを止めた時勝負はついていた。
「終わったな」
「まさか。炎をそういうふうに使うなんてね」
「読んでいなかったか」
「残念なことにね」
妖犬は己の背の方にいる髑髏天使に振り向くことはなかった。そのまま立ったままで彼に対して告げていた。
「これは考えなかったよ」
「そうか」
髑髏天使は彼の言葉に応えながらそれまでサーベルを一閃させた後の動きで止めていた身体を元に戻したうえでそのうえで身体を魔物に向けたのだった。そのうえでまた彼に言う。
「考えつかなかったか」
「僕の槍を剣で止めたよね」
妖犬は今度はこのことを彼に話した。
「あれもだけれどね」
「咄嗟に思いついたことだ」
「その咄嗟が凄いんだよ」
彼はまた言う。
「その咄嗟がね」
「そういうものか」
「そうだよ。どうやら君は予想以上だね」
今度は髑髏天使を褒めてきた。
「僕が見たよりも」
「俺の実力を認めるのか」
「どうやら。今の座天使よりも」
彼が今なっているその炎の天使だ。
「君は上になれるね」
「上か」
「そして今よりもっと強くなる」
魔物は彼にこのことも告げた。
「今よりもね。けれど僕はこれで終わりだから」
「命は絶っている」
髑髏天使は己が出したその一撃に手応えを感じていた。
「確実にな」
「その通り。今よりももっと強くなった君と闘えないのは残念だよ」
これが今
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ