第十二話 大鎌その十五
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そのうえで今度は飛んだ。翼を使ったのではなく足の跳躍で跳んだ。そうしてそこから右手の剣を振り下ろす。空からの攻撃だった。
「受けろ」
一言発しそのうえで剣を振り下ろした。できればこれで勝負をつけるつもりだった。
しかしそれは適わなかった。妖犬はその右の剣を槍の穂先で何なく受けると剣を受けた衝撃を利用してか槍を回してきた。それと共に槍を伸ばしてきた。
「槍を!?ここで」
その伸びた槍には刃はない。だがそれでも衝撃を与えるには充分だった。
サーベルで防ぐ時間もなかった。振られた槍はそのまま髑髏天使の顔を撃った。それにより彼を妖犬の後ろに上から下に吹き飛ばしたのであった。
「ぐっ・・・・・・」
「こうした使い方もあるんだ」
地面に叩きつけられそこから立ち上がる髑髏天使に首を捻ることにより顔を向けて述べた言葉だった。
「この槍にはね。どういった使い方もね」
「万能の槍というわけか」
「そういうこと」
完全に立ち上がった髑髏天使に対して告げる。
「わかってくれたかな。僕の槍は凄いからね」
「そしてそれを操る貴様の腕もな」
「その通りだよ」
髑髏天使の今の言葉に得意げな顔を見せてもきた。
「少なくとも槍では他の魔物にも引けは取らないよ」
「槍では、か」
髑髏天使はその言葉に反応した。
「誰にでもだな」
「そうだよ。君の剣にもね」
「なら。わかった」
髑髏天使は何かを悟ったような声を出した。
「俺は貴様を倒せる。確実にな」
「強がりを言うのはよくないと思うけれど?」
「強がりではない」
それは否定した。
「それを見せよう。行くぞ」
立ち上がっていた彼はここで一旦その構えを解いた。そうしてそれと共に身体の周りに紅蓮の炎の輪を出すのだった。
それと共に姿を変えた。彼もまた紅蓮を身に備えていた。座天使の力を今開放したのである。
「それが座天使だね」
「その通りだ。この力で貴様を倒す」
こう妖犬に言うのだった。
「今からな」
「無理だとは思わないんだね」
「俺は俺ができもしないことは決して言いはしない」
再び両手の剣での構えを取りつつ妖犬に告げる。
「絶対にな」
「絶対になんだね」
「そうだ。貴様を倒す」
紅蓮の炎はそのまま闘志になっていた。
「あらためて。行くぞ」
今度は跳ばなかった。そのままダッシュの要領で前に出る。紅蓮の残像が彼の後ろに続く。
髑髏天使はその残像を後ろに従えつつ妖犬に向かう。妖犬は余裕そのものの顔でそれを見つつ己は悠然と構えを取るのだった。
「そうして前から出ても」
言いながら槍を繰り出す。
「無駄だよ」
その繰り出した槍は伸びた。今度もまた伸びた。それにより彼を貫こうというのだ。
「僕の槍はその力でも防げないよ」
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