第十二話 大鎌その十三
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「特にな」
「今まで通りいつも通りってこと?」
「そうだ」
静かに妹に答えた。
「それはな。変える気はない」
「テニスとかフェシングにはそういう気遣いはないの」
「食べられるものは何でも食べる」
語るその目が不意に強いものになった。
「そうしないと。生きていられない」
「それって大袈裟じゃないの?」
兄のもう一つの顔を知らない彼女にとってはそう聞こえる言葉だった。
「生きていられないって」
「そうか」
「そうよ。まあ今は食べましょう」
あらためて兄に告げた。
「早く食べないと折角の料理が冷めちゃうわよ」
「ああ、わかった」
妹の言葉に頷きそのうえでまた食べはじめた。鰯も味噌汁も実に美味かった。この時は兄妹で楽しい夕食の時を過ごした。それから数日後だった。
休日の昼にサイドカーで道を進んでいた。趣味のドライブである。そこで長いトンネルの中に入った時だった。道の真ん中に一人立っていた。
牧村はその者を見てサイドカーを止めた。丁度その者のすぐ前でだ。見るとそれは小柄な男であった。
「危ない・・・・・・という忠告は無用のようだな」
「その通りだよ」
小柄な男はヘルメットを脱ぎながら話す牧村に楽しそうな声をかけてきた。
「僕はね。そういうのが大好きだから」
「好きか」
「だって人間じゃないから」
こう牧村に返すのだった。
「だからさ。ここにいるんだ」
「魔物としてか」
「中国から来たよ」
彼はまた言った。
「九尾の狐様に呼ばれてね」
「あの女からか」
「僕の名前は妖犬」
己の本来の名も告げてきた。
「覚えておく必要はないよ」
「それは何故だ?」
「だって君死ぬから」
牧村を完全ニコ馬鹿にした言葉だった。
「ここでね。僕の手でね」
「そう言って己が倒れた者は見てきた」
牧村はサイドカーから降りつつその妖犬に言葉を返した。
「よくな。貴様もその一人になるか」
「自信家だね。そういうのって好きだよ」
やはりその言葉の調子は変えない。
「僕もね。自信家だから」
「だから闘うというのか」
サイドカーから降りてから妖犬と対峙しだした。
「容赦はしないぞ」
「遠慮してもらうのは嫌いだからいいよ」
「それでは。はじめるか」
牧村は早速両手を動かしだした。そうしてその両手を拳にして胸の前で打ち合わせる。するとその両手から白い光が放たれ全身を包み込んだ。それが消えた時。異形の天使がいた。
「・・・・・・行くぞ」
右手を少し前に出し開いてから握り締める。牧村来期は髑髏天使にその姿を変えたのだった。
「髑髏天使だね」
「その通りだ」
「格好いいね。その髑髏にあっちの鎧が」
自分の国である中国から見ての言葉だった。
「いい感じだよ。それじゃ
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