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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・エピローグ
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「それでも、彼らがこの申し出を受けたのは、うちはの者達もまた長引く戦乱の世に疲弊していると言う事に他ならない。彼らもまた、平和を望んでいる」

 空の一角が赤い光で染め上げられる一方、その反対方向では空は群青色に変わっていた。
 だからこそ、と人影の唇が小さく動く。

「――だからこそ……千手とうちはが和解したと、皆に示さなければならない。そのために、会談場所へは一族全員で向かう」
「分かりました。皆に伝えてきます」
「頼んだよ、桃華」

 女の姿が残像を残して掻き消える。
 三度風が吹いて、人影の纏う衣類と黒髪を大きく巻き上げた。

「一つの時代が、これで終わる事になるな……」

 ――――密やかな囁きは、誰の耳にも留まる事無く風に攫われる。
 強い意思を秘めた眼差しが真っ直ぐに、沈み行く夕日を射抜いた。

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