双葉時代・反省編<後編>
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した太刀筋が欠けていた。
「それもこれも千手を……引いては――貴様を倒すための、力を手に入れるために!」
「――っ!?」
首を擦った太刀が、私の髪を断ち切る。遅れて、刃の擦った首筋から血が噴き出した。
首筋を押さえるまでもない。私が自分の体に掛けている自動治癒の忍術が作動して、見る見る内に傷が癒えていく。
千手の陽遁の具現である肉体には、陰遁の力を最大限に発揮する写輪眼と違って大した負荷がかからない。
だから、私には分からない。友を殺し、弟の目を奪わざるを得なかった彼の苦悩も悲嘆も懊悩も。
「貴様も言った筈だ、千手柱間! 頭領として、一族は守らなければいけない! 友を殺したのも、弟の、イズナの目を奪ったのも、全てはそのためだ!!」
振るわれた太刀を、片手で受け止める。
手甲越しに皮膚にのめり込んでいく刃。相手の膂力と私の抵抗する力とが拮抗し合って、押え付けている片手から血が地面へと滴り落ちていく。
「けど、マダラ。このままじゃ、失いたくない物までも失ってしまう! 今ならまだ、無くさずに済むだろう! オレも、お前も!!」
「黙れ!!」
脇腹目がけて叩き込まれた横蹴り。
敢えて避ける様な真似をせず、蹴りと同時に背後に飛んでダメージを減らす。肩で大きく息をしている青年を見つめて、私は一度目を閉じた。
――無性に、哀しかった。
うちはマダラと言う人間に、私は好感を抱き始めていたから、尚更に。
巳の印を組めば、戦場を無数の樹木が覆い尽くしていった。
血で血を洗う戦いも終盤に差し掛かり、両一族が引き上げの合図を告げた時。
私はマダラと打ち合っていた刀を引いて、他の者達同様に戦場から去るべく地を蹴った。
敵の追撃を受けない様に、千手が引き上げる時は先頭を扉間が、私が殿を務める事が多い。
今回も逃げ遅れた者がいない様に私は戦場のあちこちに視線を巡らせ、負傷者の有無を確認する。
――その際、微かな呻き声と物音を聞きつけてそちらへと走った。
戦が終わった後にまで敵を殺す気は無かった。敵であれ味方であれ、負傷者であるならば助けるつもりだった。
腰の高さまである草に、私が木遁で生やした巨木達。その間に倒れ臥している影を見つけて、私は息を飲んだ。
「――おい、大丈夫か!? って、君は!」
駆け寄って、仰向けに転がす。そうしてから目を剥いた。――知っている顔、だった。
「弟君! 君程の忍びが、何故……」
「千手、柱間……?」
虚ろな目には、何も映されていない。
何処か乾いた目の表面に、一つの可能性に思い当たる。マダラが言っていた事が本当なら、弟君の目は兄であるマダラに移植された事になる。ならば、今の彼の目は義眼な
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