双葉時代・反省編<後編>
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望んでおらず、人々が太平の世を希求していると言う事実に。
それでも頑に同盟に応じようとしないのは、その心の内に何か秘めたる物があるからか。
相見えたマダラへと必死に声をかける。
内々にマダラへは同盟を求める書状を送っていたが、今まで一度足りとて返事は来なかった。だから、こうして直接問い質すしかなかった。
マダラの赤い目が、私を睨んでいる。
つい先程から彼は攻防一体の絶対防御・須佐能乎を展開したままだ。彼の目と体にかかる負担は並大抵の物ではないだろう。
――――そんな事を思って、息を飲む。
何かが可笑しい事に、私はようやく気付いたのだ。
万華鏡写輪眼は使用者に強大な瞳力を与える反面、その両目に決して軽くはない負担を強いる。
実際、マダラが強力無比なその瞳力を発揮する度に、彼の目にはかなりの負担がかかっていたのを私は知っている。
それは瞳力の使い過ぎで起こされる激痛であったり、瞳から流れる血の涙であった。
――――それが、ここ数度の戦いでマダラの目には起こっていない。
気付いたその事実に背筋が凍る。
須佐能乎を纏ったマダラを見つめ、その赤い目に必死に目を凝らす。
まさか、まさかとは思うが……! 嫌な予感が脳裏を過り、私は勢いよく地を蹴ってマダラへと肉迫した。
催眠眼・幻術眼としての力を持つ写輪眼とは出来るだけ視線を合わさない様にしていたが、確かめるためにはその瞳を覗き込まなければならない。
「マダラ、お前、その目は……!」
「――気付くのが遅かったな、千手柱間。貴様にしては珍しい」
至近距離から赤い目を視認した後、振るわれた紫の炎を纏った鬼の腕に両手を付けて背後へと跳んで避ける。
万華鏡に開眼したマダラの写輪眼。以前目にしたその模様は三つの巴紋が三角形に似た形を作っていたが、覗き込んだ先のマダラの万華鏡に浮かぶ模様は変わっていた。
マダラ達兄弟は二人共万華鏡を開眼していた。
マダラの紋が三つ巴の三角形ならば、弟君の方は瞳孔から伸びる三条の筋。
そして今のマダラの万華鏡は、彼の弟の文様とマダラの物が合わさった紋を描いていた。
青年の顔に浮かぶのは諦観と怒りと憎しみと……微かな絶望。
いつもと同じ不敵な表情だと言うのに、どうしてだがその顔が泣き出しそうに見えたのは目の錯覚か。
「オレの目は、大分前から光を喪っていった。これは、弟の――イズナの目だ」
「マダラ、お前……!」
「うちはを守るために、友を殺し、弟の目を奪った。貴様の申し出を受ければ、その全てが無駄になるだろうが……!!」
咆哮を上げて、マダラが私へと迫って来る。
我武者らに振るわれる太刀には、彼自身のどうしようも出来ない感情を示す様に、普段の洗練
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