第十二話 大鎌その一
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髑髏天使 第十二話
大鎌
「死神が出ました」
「そうね」
「わかっている」
女と男が老人の言葉に頷いていた。今三柱の魔神達は酒場にいた。そこで人間の世界の酒と馳走を楽しんでいる。壁にのれんがありそこに筆で手書きされている文字と木の壁に椅子やテーブルがその店の和風の趣を演出していた。その中で三人は顔を見合わせて話をしている。
「まさか出て来るとは思わなかったけれど」
「何故だ?」
「彼には彼の事情があるのでしょう」
老人は今はこう言うだけだった。
「死神の。ひいては」
「冥界のね」
「おおよそこういうことだろうな」
男がビールの大ジョッキを右手に己の予想を述べてきた。
「我等の活動が活発化し数が増えたことにより」
「それを抑える為になのね」
「そうでしょうね」
女も老人も彼のその予想に頷いた。
「それで彼は出て来た」
「冥界の意向を受けてですね」
「だとすればだ」
男は語りながらその目を光らせてきた。
「我等の今の動きを冥皇が見ている」
「それは最初からわかっていることです」
老人は男のこの予想を聞いてもいつもの穏やかな顔のままだった。そのうえで右手に持つ箸を操って海老の天麩羅をつゆにつけたうえで口の中に入れていた。
「冥界が常に我々を見ていることは」
「そうね。ただ」
「はい。死神が来たのははじめてです」
今度は女の言葉に応える。やはり問題はそこであった。
「それですが」
「髑髏天使だけではなくなった」
男は言う。
「敵がな」
「それもあります。ではこちらも」
「何か考えがあるの?」
「戦力はあります」
老人の言葉はさらに落ち着いたものになった。
「こちらにも」
「二人を同時に相手にするということかしら」
「必要とあらば」
老人の言葉は笑っていた。
「それも可能です」
「そうね。魔物の数は多いわ」
「それにだ」
女に続いて男が言った。
「一対二は無法だが」
「二対二になるなら」
「それでいい」
こう女に返したのだった。
「これなら数は釣り合いが取れるな」
「そうね。それなら法に乗っ取ってるし」
「魔物の法に」
ここでまた妙な単語が話に出て来た。
「適っている。ならばそれでいいな」
「それではです」
男が語り終えたところで老人がまた口を開いた。
「次に出す魔物ですね」
「ええ、それね」
「誰を出すか?」
「前回は私の日本から出てもらいました」
老人は話しながら刺身を食べる。鮪の刺身でありその赤い身を箸に取り山葵醤油で食べる。日本の伝統的な食べ方をしえいる。
「ですが彼は」
「やられたな」
「その死神によってね」
「はい、ですから
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