第十一話 死神その十七
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「しかしだ。私は」
「姿を幾つも持てるのか」
「そういうことだ。これでわかったな」
「身を以ってな」
しばてんはその口から赤いものを吐き出しながら答えた。
「わかった」
「では。行くがいい」
死神の声がこのうえなく冷徹なものになった。
「冥府にな」
この言葉と共にしばてんの身体が燃え上がった。そのシルエットそのままに燃え上がる。だがその炎の色は髑髏天使のそれとは違い紅蓮だった。しばてんは紅蓮の炎となりその中に消えていくのだった。
「赤い炎か」
「貴様とは違う」
死神はその炎を見て呟いた牧村に背を向けたまま述べた。まだ幾つにも別れたままであるのでそれぞれの口で言ったのである。
「だからだ」
「炎の色も違うか」
「そうだ」
答えながらそれぞれの死神が前に出る。その炎に近付く。
そうしておのおの鎌を手に取った。そのうえで一人、また一人と自分自身に重なり合っていき遂には一人の死神に戻ったのだった。
「貴様の炎は青だな」
「そうだ」
「髑髏天使の炎はそれだ」
「俺は青か」
「そして私は赤」
「今のそれだな」
「その通りだ。貴様に倒されればそのまま冥府に行く」
髑髏天使に倒されてもそれは同じなのだった。
「だが。私は死神」
「冥府に送るのだな」
「送り主のいる炎は赤いのだ」
「だから今の炎も赤いのだな」
「そういうことだ。これでわかったな」
「一応はな」
死神のここまでの言葉に頷いてみせる。
「だが」
「だが?」
「貴様が死神なのはわかった」
牧村はまずはこのことを言った。既に炎は消え死神は彼の方に顔を向けてきていた。右手に鎌を持ち顔を左から後ろに向けている形である。
「そして炎のことも」
「ならばそれで問題はない筈だが」
「しかしだ」
ここで牧村の言葉に剣が宿った。
「貴様は魔物の魂を刈る為にこの世に出て来たと言ったな」
「私は嘘は言わない」
顔だけを牧村に向けたままで答える死神だった。
「神だからな」
「それもいい。ただ一つ気になることがある」
「それは何だというのだ?」
「貴様は。俺にとって何なのだ」
鋭い目で死神に対して問うのであった。
「俺の命には興味がないとも言ったが」
「その通りだ。貴様には興味はない」
このことははっきりと答える死神だった。
「私が興味のあるのは魔物だ。貴様ではない」
「では敵ではないというのか」
「その通りだ」
答えは彼にとっては一つしかなかった。
「だから貴様と闘うつもりはない」
「そうか」
「少なくともこちらからはだ」
話に前置きが入った。
「私からはな。貴様の魂については私は何の関心もない」
「魔物だけか」
「そういうことだ。ただしだ」
「ただし。何だ?」
「貴様の方から
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