第十一話 死神その十六
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「そうそう上手くいくものかな?」
「余裕か?」
「違うな。確信だ」
言いながらその秀麗な顔の唇に笑みを浮かべてきた。
「私の実力をわかったうえでのな」
「ほう。ではどうするのだ?」
「確かに一人ならば狙われる」
彼は言うのだった。
「一人ならばな」
「一人ならばか」
「だが。これならどうだ」
言いながら死神の身体に異変が起こったのだった。
「これならな」
「むっ!?」
「これは」
しばてんだけでなく牧村も声をあげた。ここで死神は分け身を使ってきたのだった。そのまま数人の死神に分かれ横一列に並んだのだった。
「分身か」
「そうだ」
死神はそれぞれの口で牧村に対して答えた。
「だが普通の分身ではない」
「何っ!?」
「私は神だ」
このことをまた言いもしてきた。
「ただ述を使っているわけではない」
「そこに何かあるのか」
「全て私だ」
こう言うのだった。
「そう、私は実体を幾つも出すことができる」
「そうした意味での分身だな?」
「その通りだ。ではしばてんよ」
「むっ!?」
「どうする?」
不敵なものは相変わらず声に入っていた。それはさらに増していた。
「全ての私を。倒すつもりか」
「むう・・・・・・」
「行くぞ」
死神の声が動いた。
「今ここで」
全ての死神が一斉に動いた。その瞬間だった。
「これよ!」
しばてんの腕がまた現われた。そうして死神の一体を打った。
「これで貴様は!」
「そこか」
その死神は拳に打たれて姿を消した。しかし他の死神達は違っていた。
「そこだな」
「そこにいたな」
それぞれの死神が言うのだった。
「ならば」
「覚悟するのだ」
その動いた死神達がそれぞれ腕が出て来た場所に鎌を投げた。両手を思いきり振り被り上から、正面から、そして横から投げつけた。その巨大な鎌を。
鎌達は凄まじい唸り声をあげ空を切り裂きつつその場所に向かう。そして。
一斉に突き刺さった。そこから幾条もの鮮血が吹き出る。それと共にその白い身体に鎌を突き刺させた死神が紅く染まった身体を出してきた。
「おのれ・・・・・・」
「言ったな」
死神達はそのしばてんを取り囲んだまま彼に告げてきた。
「私は全て実体だと」
「そうだな」
「確かにな」
鮮血に塗れながらもそれでも声を出すしばてんだった。
「では今俺が倒したのは」
「確かに私だ」
それは認めるのだった。
「だが。私は一人ではない」
「一人を倒しても他の私がいる」
「そういうことだ」
「そうだったか」
「そうだ。確かに貴様は強かった」
それは死神も認めた。
「仮にも神である私の一人を倒したのだからな」
「見事だ」
「しかしだ」
それでもだったのだ。
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