双葉時代・反省編<前編>
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「ええ、頭領の仰る通りです」
千手がうちは一族以外と戦場で相見える数は減って来ている。
それは多くの者達が忍び連合に入り、不戦条約に参加した事も原因に上げられるだろうが、長い争いの時代に人々がこのままではいけないと気付き始めたのも理由の大半だろう。
桃華が注いでくれたお茶をゆっくりと口に含む。
世は変わりつつある。それは確かだ。
憎しみを生み出し諍いの原因となった戦国の世は太平に向けて、ゆっくりとだが徐々に移行してる。
――忍び連合に参加した一族同士の交流の数が重なり、人々が分かり合える機会が増えた事もその一端を担っているのだろうね。
「……頭領。ここらが潮時かもしれません。私には、ここ最近は殆ど千手とうちはのための戦場と化している様な……そんな気がしてならないのです」
「そう、見えるのか」
千手もうちはも、人々は争ってばかりの世の中を厭い始めているのは間違いない。
それに、あいつは気付いているのだろうか……? 桃華が溜め息を吐く声が聞こえて、考えを中断させた。
「いえ、寧ろ……」
「なんだ? 気になる事があるなら言ってくれ」
「寧ろ……私には最近の戦は……柱間様とうちはの頭領のための戦いにしか思えないのです」
躊躇いを含みつつ発せられた言葉は、私の脳裏に深く刻まれた。
最近の争いはうちはと千手の死闘ではなく、私とマダラの私闘に変わっている?
私の求めるのはこの戦乱の世の変革だ、それは今も昔も同じな……筈。
無為に命を投げ捨てさせる世の中を変えてやる事、引いてはその先の平和な世界を何よりも渇望している……筈だ。
しかしマダラと言う好敵手との出逢いに心を躍らせ、現状が変わらないままでいる事を??心の何処かで私は望んでいたのか?
――――だとすれば、それは由々しき事態だ。
机の上に置いていた筆を握りしめ、力を込める。
職務を再開しながらも、桃華の呟きが耳から離れなかった。
「――……お前は気付いているのか、うちはマダラ」
「何の事だ、千手柱間。それよりもいいのか? 他の事に気を逸らしたりして」
桃華との会話を経て数度目の戦場。
そこで常の如く雄叫びを上げて襲いかかって来たマダラの攻撃をいなしながら、私は闘気を全身で発しているマダラへと訊ねかけた。
それまでだったら数合打ち交わすだけで心が踊り、マダラとの戦い以外に何も考える事は無くなると言うのに、今までに無く私の心は沈んでいた。
向こうもそれに気付いたのだろう。訝し気に眉根を潜めると大きく飛び退いて私との間に距離を取る。
――――手にした刀を握りしめる。
幼い頃から使い続けている父から戴いた刀は、鈍く煌めいて私の姿を映していた。
気付いて
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