双葉時代・反省編<前編>
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が大きかったな。あの件以降、有名無名を問わず同盟参加への申し込みが増えおったわ」
「そうですね。日向の人達にはお礼を言わないと。今度、オレの自信作でも送ろうかな?」
「……まず間違いなく嫌がらせと思われるから止めておけ」
――……まあ半分は冗談のつもりで言ったので安心して下さい。本気でそうするつもりはありませんから。
絶対にするなよ、という視線を送ってくる志村の旦那へと、そう言った意味を込めた顔で見つめ返しました。
「……この間耳に挟んだのじゃが、日向との会談の際に一人で向かったそうじゃな?」
「ええ。それが相手の条件でしたから」
「お主、命が惜しくないのか?」
神妙な声に、両目を閉ざす。
命が惜しくないのかって? 勿論惜しいとも。
――けれど。
「けれど、それ以上にオレは欲しい物がありましてね。それを手に入れるまでは死ぬ予定はありませんから」
「――……青いな」
呆れを含んだ溜め息に、へへっと笑った。
そう、後少しなのだ。もう少しすれば私達の目指す場所にまた一歩近づける。
突き抜ける様な青空を見上げて一人目を細めれば、志村の旦那の溜め息が届く。
不審に思って視線を向ければ、歴戦の忍びは何とも言えない表情を浮かべて私を見つめていた。
――まるで哀れなものを見つめる様な、そんな目で。
「お主の目指す所をワシも知っておる。最初は何を戯けた事を……と思っておったのじゃが、昨今の時代の流れを見つめる中でお主の言う事が単なる夢想ではないと実感出来る様になった」
何が、言いたいのだろう。
この大先輩の忍者が言いたい事が分からなくて、私は微かに眉根を潜めた。
「じゃが、柱間。一つお主に聞きたい事がある」
「……なんですか?」
「――お主、戦を楽しんでいるのではないか?」
どうして、だろう。
今までの様に、そんなことはないと断言する事が出来なかった。
「我々が雇われれば、相手は対抗してうちはを雇う。我ら千手一族に対抗出来る忍びは、忍界広しと言えど最早うちはぐらいですからね」
邸の中でそう呟いたのは、一族の中でも扉間と並んで私の補佐を行ってくれる千手のくのいち。
烏羽玉の黒髪を綺麗に纏め上げ、左目を垂らした前髪で隠してる、千手随一の幻術使いである千手桃華だった。
涼し気な目元をそっと伏せ、花の香りがするお茶を淹れてくれる。
写輪眼への幻術対策も兼ねてここ最近の千手での組み手の相手を務めてくれる桃華は、千手の女性陣の中ではミトに次いで私に近しい位置に居た。
そんな彼女の何処か憂いを含んだ囁きに、私は手にしていた筆を置いて桃華の言葉について考えてみる。
「そうだな……。最近ではうちは以外と戦う事も無くなって来た」
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