第十一話 死神その十
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「わかったな」
「つまり失敗してもそれでも続けろってことね」
「何を言われても諦めないことだ」
このことも言い加えてきた。
「わかったな」
「ええ、何となくだけれど」
彼女も兄の言葉に頷いた。
「それじゃあ。頑張って作ってみるわ」
「そうするべきだ。必ずな」
「そうね。ところでお兄ちゃん」
未久は兄の話が終わったところであらためて彼に言葉をかけてきた。
「それってお兄ちゃんも同じなの?」
「俺もか」
「そうよ。こういうこと言うなんて」
彼女にも何故兄がこんなことを言うのか根拠を知りたくなったのだ。
「やっぱり。失敗してきたの?」
「当然だ」
これまたはっきりと答えた牧村だった。
「失敗しない人間なぞいない」
「そういうところ見たことないけれど」
「御前が見ていないだけだ」
素っ気無い返答だった。
「それはな」
「そういうものなのね」
「そうだ。それでだ」
「ええ」
「俺も今まで数え切れない失敗をしてきた」
真剣な顔での言葉になっていた。
「それこそな。今でもだ」
「今でもなの?」
「何度もな。それこそな」
話しながら髑髏天使としての闘いのことを思い出していた。確かにその幾多の闘いで彼は数多くの失敗を犯してきた。それで何度も命を落とすところだった。そのことも思い出しての言葉であった。
「おかしてきた」
「私にはそれが見えなかっただけなのね」
未久は兄の言葉からこう考えることにしたのだった。
「ただ」
「そういうことだ。それでだ」
「ええ」
「失敗から学ぶ」
またこのことを話した。
「例えそれが命懸けのものであってもな」
「命懸けだったらまずいんじゃないかしら」
これには未久もいぶかしむものがあった。
「お菓子で死ぬってことはないけれど」
「俺の方での話だ」
こう言ってこのことについてはこれ以上話さなかった。
「これはな」
「フェシングって剣使うからね」
彼女はそれはこのことだと思った。やはり兄のもう一つの顔には気付いていない。
「だからなのね」
「まあそうだ」
「危険なのね」
何も考えることなく述べる未久だった。
「やっぱり」
「危険は常に隣り合わせだ」
牧村はここでは少しだけ髑髏天使になっていた。
「俺にとってはな」
「何かそれって随分キザな言葉ね」
「キザかも知れないが現実だ」
こう返しもした。
「それはな」
「何かよくわからないけれど気をつけてね」
妹はフェシングのことだと考えてまた言葉を返した。
「怪我なんかしないでよ、本当にね」
「それはわかっている」
「わかってるのならいいけれどね。それじゃあね」
「ああ」
「お菓子だけれどね」
話をそこに戻してきたのだった。
「それで。ゼ
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