第十一話 死神その六
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「これは言っておく」
「人間ではないか」
「そうだ」
また答えてきた。
「私は冥界から来た」
「冥界から?」
「そう。御前達人間が死神と呼ぶ存在だ」
こう牧村に対して告げたのだった。
「御前達の冥界への案内人だ」
「死神か」
死神と聞いて牧村の目が僅かだがぴくりと動いた。
「今貴様自身が言ったが」
「うむ」
「死神は冥土への案内人だな」
「如何にも」
自分が言った言葉なのでそれは全く隠すことはなかった。
「私はな。そうだ」
「ではその案内人がどうして俺の前に姿を現わす?」
牧村の言葉はいよいよ鋭いものになってきた。
「それは何故だ?俺を冥界に案内するというのか?」
「それは違う」
死神と名乗るこの女の顔を持つ者はそれは否定した。聞けばその声も女のものだ。メゾソプラノの声で彼に対して告げてきていた。
「冥界の定めでは御前はまだ死ぬ時ではない」
「冥界ではか」
「あくまで冥界、ではだがな」
この言葉には死神は何かを含ませていた。牧村もそれは感じていたがそれでも今はそれについては問うことはないのであった。
「貴様は死ぬ時ではない」
「それでどうして俺の前に姿を現わした?」
「牧村来期としての貴様に用があるのではない」
今度のこの者の言葉はこうであった。
「それはな」
「ないのか」
「そうだ。貴様のもう一つの姿に用がある」
「やはりな」
牧村はその言葉を聞いて予想通りだという顔になったのだった。
「そう来たか」
「予測していたようだな。そうだ」
また牧村に対して言葉を返してきた。
「そういうことだ。私が用があるのは髑髏天使だ」
今度ははっきりと口に出してきた。
「髑髏天使としての貴様に用があるのだ」
「用があるというのはどういうことだ?」
ここで僅かに身構えたのだった。
「まさかとは思うが」
「安心しろ」
その身構えた牧村に対しての言葉だった。
「私は闘うつもりはない」
「?ないのか」
「私は魔物ではない」
このことは断るのだった。
「私は死神だ。奴等とはまた違う」
「違うというのか」
「そうだ。むしろ私は奴等の敵だ」
今度はこう牧村に話すのだった。
「冥界でも今の奴等の動きは問題になっているのだ」
「どういうことだ?冥界と魔物には関係があるのか」
「魔物もまた必ず死ぬ」
死神は言った。
「生ある神ならざる者ならばな」
「そして最後は冥界に入るというのか」
「その通りだ。だが魔物は他者の運命を乱すこともある」
「他者の!?」
「普段は違う」
このことは断ってきた。
「普段はな。だが今回は十二魔神が封印から抜け出してきていることにより奴等の力が今までになく増してきているのだ」
「今までよりもか」
「そ
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