第十一話 死神その一
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髑髏天使 第十一話
死神
ポルトーも倒された。そのせいか三柱の神々はまた話し合いの場を持っていた。今度の話し合いの場は港であった。そこで遠くの船や汽笛を背景に話をするのであった。
「今回もでしたね」
「そうだな」
男が老人の言葉に頷いていた。
「まさかこうまで簡単に倒されるとは思っていなかった」
「あら、当然の結果だと思うけれど」
だが女はこう言うのだった。
「こうなったのは」
「当然の結果だというのか」
「ええ、そうよ」
女はまた言った。
「今回の髑髏天使の強さを考えればね」
「どうやら。予想を遥かに超えた強さのようだな」
男は女の言葉にこれといって反論することなくそれに返した。
「俺の予想を」
「私も最初はあそこまでとは思わなかったわ」
女も最初はそうだったと言うのだった。
「あっという間に大天使になって」
「そして権天使か」
「そう、もうよ」
女が言うのは天使の階級のことであった。
「もうなのよね」
「これまでの髑髏天使はどれも一年はかかりましたね」
ここでまた老人が述べてきた。
「ですからここまでは二年です」
「そうだったな」
男は老人のその言葉に応えて彼自身も述べた。
「それはな」
「ところが今度の髑髏天使は二ヶ月です」
「言葉では一言だが」
「その時間の違いは髑髏天使としてはかなりのものです」
「それだけ強くなってきているというね」
女はまた言ってきた。
「短時間にね」
「そうなるな。そしてだ」
男もまた言葉を続ける。
「それだけ我等にも近付いてきているということでもある」
「久し振りのこの世界ですが」
老人は楽しげな笑みを浮べたまま告げてきた。
「どうやら。思ったより楽しめそうですね」
「そうね」
その言葉を聞いて女も楽しげに笑ってみせてきた。
「魔物達にだけ闘わせているのも案外面白くはないし」
「それに今は三人だけだな」
男は今度は自分と周りにいる同胞達を見渡して述べた。
「寂しいことにな」
「あと九人ですが」
老人は今度は数について言及した。
「果たして。どうなるのでしょうか」
「あんた達はどうやって封印を解いたのだ?」
「年月のせいよ」
「私もです」
女と老人の返答はこうであった。
「そのせいで出られたのよ。封印が弱くなっていたから」
「よいことでした」
「俺と同じだな」
男は二人の同胞の言葉を聞いて納得する顔になって頷いたのだった。ここで遠くから汽笛が聞こえてくる。神戸の港はやはり船が多い。朝の港にはもう行き交う人々が遠くに見え出港の用意にかかっている船も見えた。そういう場所であった。
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