第十話 権天その二十一
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「そういうことだ。それではな」
「わかった。しかしだ」
「何だ?」
男は牧村の前から姿を消そうと踵を返したがそこで足を止めて彼に顔を戻してきた。
「貴様はまだ闘わないのか」
「俺は神だ」
まずは己のことを言って答えとしてきた。
「神は人とは闘わない」
「だからか」
「俺と闘う為には神になることだ」
そしてこうも言うのだった。
「わかったな。俺もまたそれを待っている」
「俺が神にか」
「天使から神になるか」
男は牧村を見据えたまま言葉を続けてきた。
「それとも」
「それとも?」
「全ては貴様次第だ」
ここから先は言わずにこう言うだけだった。
「全てはな」
「そうか。やがて貴様等と闘うことができるのだな」
「待っている」
男の今度の言葉はこれだった。
「どちらにしろ。貴様が我等に近付くのをな」
最後にこう言って牧村の前から姿を消した。牧村はそれを見送り姿が消えたところで買い物に戻った。そしてそれを終えて百貨店の外に出るとそこに一人の男が立っていた。
「貴様か」
「如何にも」
その男は牧村のその問いに静かに答えてきた。長い髪がまるで柳の様に風に揺れてそこに立っている。
「俺が髑髏天使を倒す者だ」
「それで名は何という?」
「チョンチョン」
こう名乗ってきたのだった。
「それが俺の名だ」
「チョンチョンか」
「場所を変えるとしよう」
後ろに夕陽を背負いつつ牧村に言ってきた。
「ここでは人目につく」
「魔物が人目を気にするのか」
「貴様にとって不都合だと思うからだ」
だからだというのである。
「だからだ。俺は別にどうでもいいのだがな」
「そうだな。ここで髑髏天使になるのは俺にとってもいいことではない」
それはもう言うまでもないことであった。人前で髑髏天使に変身すれば一体どういったことになってしまうのか。それは自明の理であった。
「では。その言葉を受けさせてもらおう」
「俺の言葉を受けてくれて感謝する」
「感謝される道理はない」
牧村は今度はこう返した。
「それはな」
「いいというのか」
「俺の為にそれを受けた」
彼の今の言葉である。
「それだけだ」
「そうか」
「そしてだ」
牧村は彼に問うてきた。
「貴様の名は。何というのだ?」
「ポルトー」
「ポルトーだと」
「そうだ」
こう名乗ってきたのだった。
「それが俺の名前だ」
「そうか。ポルトーというのか」
「その力。すぐに見せよう」
自信に満ちた言葉であった。
「貴様の死と共にな」
「面白いことを言う」
牧村にとっては最早こうしたやり取りは馴れたものになっていた。だから表情も特に変えはしなかった。
「では俺もだ。この力を貴様に見せよう」
「場所は何
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