双葉時代・共闘編<前編>
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じ力量を持つ相手と戦うと言うのは楽しい物だ。血が騒ぐと言うか、心が浮き立つと言うか。
こうして追い込めば相手がどのように対処するのだろうか、と想像したり、相手の使う術を如何に利用して優位な方向へと持ち込めばいいのか、という戦術を練ったり。
認めたくないが、マダラと戦うのは面白いし楽しい。
そのせいで思う存分に力を振るっては、千手に帰る途中で物凄い自己嫌悪に襲われる事も多々あるんだけどね。
それでも今こうして戦っている事は正直――心が躍る。
「何を笑っている! 余裕だな、柱間!」
「いや、楽しいなって思ってね!」
片手に握った刀を横に薙ぎ払う。
鈍い銀の軌跡を背後に下がる事で躱したマダラの追撃のために地を蹴る。そのまま至近距離で掌中で構え直したクナイを相手の喉元へと突き刺そうとするが、瞬時にマダラの周囲を覆った紫の炎にクナイが砕かれた。
「あー、悔しいな。争いなんて正直嫌いだったのに、こうしてお前と戦うのが楽しくなって来ただなんて」
振るわれた鬼の腕を避けて、先程生やした樹海降誕時の巨木の方へと大きく跳躍する。
乱れる髪が鬱陶しい。左手で乱暴に髪を梳けば、驚いた様に目を見張っているマダラと目が合った。
「――ん? どうした?」
「まさか……戦嫌いで有名な千手柱間からそのような言葉が聞けるとは……思ってもいなくてな」
うん。これは私にとっても予想外だったよ、本当に。
混戦の最中だって言うのに、苦笑が漏れた。
*****
「……」
「……」
普段は人を人とも思わない態度を取る事が多いうちはマダラのどこか呆然とした表情に、言い出しっぺの私の方が居心地が悪くなって、頬を掻いて視線を逸らす。
なんか変な事言ったのかね、自分。
それにしてもなんなの、この何とも例え様のない感覚。むず痒くて仕様がない。
普段の不敵に無敵が代名詞の傲岸不遜なうちはマダラは何処に行った……! と突っ込みたくなるが、我慢する。
酔っぱらった志村の旦那が踊り出した時だって、こんな居心地の悪さは感じなかったぞ。
にしても気まずい。誰かこの雰囲気を変えて下さい、切実にお願いします。
そんな事を天に願っていた矢先。
いつもだったら巻き添えを恐れて私とマダラとの戦いの最中に近寄らない千手の忍びの一人が、私の背後に瞬身の術を使って現れた。
「頭領! 急ぎお耳に入れなければいけない事が……!」
千手の忍びが現れた事で、マダラの方も普段通りの様子を取り戻す。
やれやれ、あの状態が続いていたらどうなっていたのやら。
「聞こう。よっぽどの非常時なんだろ?」
「は、はい!」
印を組み始めたマダラから視線を離さず、こちらも迎撃のために印を組む。
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