第十話 権天その九
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「もう生姜を使うのか」
「そうだが」
「ふむ。それは将来有望じゃな」
博士は話を聞きながらその白い髭を右手でしごいた。目は感心したものになっている。
「もう生姜を知っておるのか」
「生姜を知っていれば何かあるのか?」
「あるのじゃよ、これが」
「生姜にか」
「まず生姜はのう」
生姜についてあれこれと話をはじめた。
「身体によいのじゃよ」
「風邪には効くな」
「それだけではない。よい滋養になる」
こう言うのである。
「それにな。味が違う」
「味がか」
「入れておくだけで全く違うのじゃよ。何もかもな」
「そういうことか」
牧村はそれを聞いて考える顔になるのだった。
「俺には今一つわからないのだが」
「それはいつも食べておるからじゃよ」
博士はそう言って牧村を見た。
「普段から食べておるとそうそうわかるものではない」
「そういうものか」
「そういうものじゃ。普段からじゃと中々わからん」
また述べる博士だった。
「全くな」
「ふむ。そういうものか」
牧村はそれを聞いてまた考える顔になった。
「普段からだとわからないものか」
「生姜にしろそれは同じなのじゃよ」
「生姜もか」
「そういうものじゃ。とにかく生姜を使うとは見所がある」
博士はあらためて目を細くさせた。
「まだ中学生だというのにのう。楽しみなことじゃ」
こう言ってからそのプティングを食べていく。博士は今はすこぶる機嫌がよかった。
その頃あの三柱の魔神達は今度は周りに水が滝となり流れている暗闇の中で。白く淡いキャンドルの輝きにその身体を浮かび上がらせつつ話をしていた。
「マニトーは敗れた」
「そうみたいね」
女が男に対して応える。彼女の周りにも水が流れている。
「そしてそれだけじゃないわね」
「炎を使えるようになった」
「権天使ですね」
老人がここで二人に対して述べてきた。
「それは」
「第三の段階か」
「そうなります」
今度は男に対して答えた。
「権天使で」
「そうだったな。思ったよりもかなり早い」
「こんなに早いものだったかしら」
女は男の早いという指摘に続いて自身も述べた。
「天使の階級を上がるのは」
「私の記憶では一段階に一年程度でした」
老人がここでまた述べた。
「確か。それ位だったかと」
「それが一月程度か」
「そうね」
女がここで頷いた。
「それ位ね。時間は」
「やはり早いな」
男はここまで聞いてまた言うのだった。
「今度の髑髏天使の階級を上がる早さは」
「そうね。ただそれならそれでやり方があるわ」
「そうですね」
老人は女のその問いに対してまた述べた。
「それだけ人ではなくなる恐れも早くなるのですから」
「今のところは人なの
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