双葉時代・対峙編<後編>
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かった。
くそ! 今程こいつをぶん殴ってやりたいと思った事は無い。
ミトが聞いたらお行儀が悪いと怒られそうだが、思わず舌打ちが出る。
「見たくもない光景を見せやがって……並の人間だったら精神崩壊を起こしてたぞ」
「確かに、並の忍びではそうなっていただろうな」
肩で息をしながら、ふらつく足を叱咤して大地を踏みしめる。
自慢じゃないが、私の幻術に対する抵抗力は、他の忍びとは比べようが無い。
それがここまで疲弊させられるなんて……。
しかし、相手の方も私同様に疲弊している様だ。
これでマダラだけ元気一杯だったらどうしようと思っていた分、その事実に一安心する。
周りでは未だに黒雨の術で活性化した先の豪火球の炎が燃え盛ってるままだ。
余程の量の水を出さない限り、並の水遁ではこの炎は消えないだろう。
――それを利用させていただく。
「木遁・大樹林の術!」
巨木と化した私の左腕。
無数に分岐する木の攻撃をマダラに向ける一方、枝分かれした数本に敢えて炎を点火させる。
そんでもって、踊り狂う炎を付けたままの大樹林をマダラの背後から襲いかからせた。
名付けて、木遁・火だるま大樹林の術――なんちゃって。
前後左右からの大樹林の攻撃だ。
これを避けるには、それこそ地面の中に潜るか、空に跳ぶしか無い。
マダラが土遁を使わないのは確認済み。それに、マダラが敢えて身動きの取れない空中に身を投げ出す様な危険度の高い真似をするとは思えない。
――となれば、先程燃え盛る炎の中から無傷で生還したのと同じ方法を使うしか無いだろう。
じっと目を細めて観察していれば、マダラの姿が大樹林に覆われて見えなくなる。
後方に点火していた燃え盛る炎が他の枝に移って火勢を増す。
無数に絡み合っていた大樹林が嫌な音を立てたのに気付いて、大樹林と一体化させていた左腕をそこから引き抜いた。
一際嫌な破砕音が上がったのと同時に、燃え盛る炎を纏った大樹林の幹が内側から爆発した。
「……っ! 成る程、それのお蔭で無傷だったのか」
「これを見せるつもりは無かったんだがな……」
不吉に燃え盛る紫の炎を纏った、骸骨。
身を守る鎧の様に、紫の炎と骸骨で周囲を包まれているマダラの姿に合点がいく。
成る程、あれならば先の炎から身を守る事も出来よう。なんにせよ、厄介な事だ。
「万華鏡を開眼した者の中でも、異なる二種の能力を瞳に宿した者だけに許される最強防壁――須佐能乎だ」
なんていうか……写輪眼ってずっこいな。
木遁使ってる自分がなんだか虚しくなって来たわ。
頭痛がして来た頭を必死に抑えて、戦意を一生懸命掻立てる。
もうやだ、こいつ。
次から次へと
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