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木の葉芽吹きて大樹為す
双葉時代・対峙編<後編>
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 幸いと言っていいのか、私とマダラの戦闘の巻き添えになる事を恐れて他の忍び達は離れた所で戦っている。この火災が他の場所にまで届かなければいいのだが。

「馬鹿はどっちだ。油断し過ぎだ、柱間」
「……っ!」

 咄嗟に左腕の篭手を差し出し、防御する。叩き割られた篭手の間から、血が噴き出した。
 噴き出す血を無視して、そのまま大樹林の術を使用して相手を追撃する。
 後ろに飛び跳ねて攻撃を避けたマダラは、私の方を見て小さく舌打ちした。

「チッ。浅かった様だな」
「お生憎様って奴だ」

 自動治癒の始まった左腕から手を放して、土流壁を背後にマダラを観察する。

 可笑しい。

 黒雨の術の追加効果で威力が増大した火遁の攻撃の直中にいて、無傷だなんて。
 いくら動体視力を極限にまで上げてくれる写輪眼の恩恵があるにしても、少しは手傷を負う筈だ。
 でもまあ、マダラだからなぁ……。

「先に言っておく。前と同じだと思わない事だな」
「どうやらそうらしいな」

 三つ巴の写輪眼が、マダラが両瞼を閉ざして再び開いた時には、姿を変えていた。
 げ。あれって、ひょっとして……!

「万華鏡写輪眼……写輪眼の上位に位置する目だ」
「――……ああ、そう」

 爛々と輝く赤い瞳に、絶望したくなった。
 もう最悪、普通の写輪眼でさえ厄介な相手だったのに、その一段上の万華鏡だなんて……!
 頭を抱えてのたうち回りたい気分に襲われるが、必死に我慢する。
 でもここが戦場でなければ、実際にそうしてたと思う。

「――っ、やば!」
「遅い!!」

 三角形を作った三つ巴の紋に気付いて、慌てて目を逸らそうとするが、遅かった。
 赤い目が私の目を捉え――そうして。

 幻術眼としての威力も持つ写輪眼。
 万華鏡に進化した今、更に強力な幻術が私を襲う。

 ――気付く間もないうちに、マダラが作り出した幻術世界が私を捕えていた。



「――……これで、オレの、うちはの勝ちだな」

 大きく肩で息を吐きながらそう告げたマダラの言葉に、遠ざかっていた意識が我に返る。
 ったく、けったいな映像を見せてくれやがって……! 幻術とは元々相手を精神的に攻撃する技ではあるが、今回の幻術は過去に食らったどれよりも兇悪だった。

「千手と言えど、首を落とされば死ぬだろう。……お前の父同様にな」

 ――その言葉で、何かが切れた。

「お前こそ、オレの事を舐め過ぎだ……っ!」
「……あれだけ食らって、まだそこまで動けるとはな。流石は千手柱間……忍びの頂点だと謳われているだけある」

 左手を軸に、右足を伸ばして相手の懐に蹴りを入れる。
 相手の油断を誘えたと思っていたんだけど、そうも上手くいかな
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