第十話 権天その七
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「この力を確かなものにしなくてはいけないな」
「それは君次第のことじゃな」
「俺次第か」
「左様。先程言った通りじゃ」
話を少し戻す博士だった。
「修練を積み強くなりな」
「それと共にこの力をか」
「身に備えるのじゃ。よいな」
「わかった。では今まで通り鍛えていく」
「絶対にな。さて」
話が一段落したところで息抜きのように言葉を出す博士であった。
「話はこれで終わりじゃが」
「終わりだが?」
「今日はそのイギリスのお菓子を用意しておるのじゃよ」
急に顔を綻ばせて牧村に対して言ってきたのだった。
「実はな」
「イギリスのか」
「私が焼いたんですよ」
不意に牧村の前に美女の顔が出て来た。それはろく子のものだった。部屋の端に静かに立っていた彼女が首だけを伸ばしてきたのである。
「最初から作って」
「あんたが焼いたのか」
「はい、プティングです」
今にも口付けをせんばかりの近さで牧村に言うのであった。その知性的な美貌の顔をにこりとさせている。これが普通の人間だったなら普通の男ならここでその唇を奪っているであろう。
「プティングを焼いたんです」
「プティングか」
「嫌いか?」
ろく子が頭を少し離したところで博士が彼に問うてきた。
「プティングは」
「いや、好きだ」
表情こそ変えないが素直に答える牧村だった。
「それもな」
「ならばいいな。皆の分もあるぞ」
「えっ、本当に!?」
「僕達の分もあるんだ」
「当たり前じゃ。美味いものは皆で食べるものじゃ」
博士は笑って歓声をあげる周りの妖怪達に対して述べる。
「だからじゃ。皆の分もあるぞ」
「はい、こちらに」
ここでろく子がそのプティングを出してきた。盆の上に丁寧にガラスの皿の上に置かれ黒いカラメルソースをかけたそれがすぐに博士や牧村、妖怪達の前に置かれるのだった。当然スプーンも一緒だ。
「うわ、これはまた」
「美味しそうだね」
「イギリスじゃこんな美味しそうなプティングないよ」
ここでレプラコーンが皆に言う。
「っていうかもっと凄い形になってるし」
「ってこれイギリスの料理じゃない」
「それでそうなの?」
「そうなんだよ。だから凄いんだよ」
うんざりとした顔で皆に話すレプラコーンだった。
「イギリスの料理はね」
「じゃが日本人が作るとじゃ」
「作ったのは私ですが」
ろく子が博士に突っ込みを入れた。
「私は人ではないですけれど」
「それはよいのじゃ」
今のところはそうしたことには構わず話を進める博士だった。
「今はな」
「左様ですか」
「それでじゃ」
ろく子に対する話をこれで終わらせあらためて一同に言う博士であった。
「このプティングは間違いなく本場のものよりも美味いぞ」
「
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