第十話 権天その五
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「あれもいいよね、確かにね」
「ああ、知っていたんだ」
「だったら話は早いよ」
妖怪達も彼がきつねうどんを知っていると聞いて笑顔になった。
「他にも色々とあるしね」
「串カツもお好み焼きもどて焼きもね」
「本当に何でもあるんだね」
「そうだよ、何でもあるよ」
「美味しいものはね」
彼等は口々に大阪の食べ物を褒めるのであった。
「基本的にビールと合うね」
「たこ焼きとかお好み焼きとかね」
「確かに」
「ああ、だったらこっちも楽しみだよ」
ビールと聞いてレプラホーンも乗ってきた。
「ビールと合うんだ」
「そうだよ、かなりね」
「そういえばビールもやっぱり?」
「日本の方が美味しいよ」
にこりと笑って答えるレプラホーンであった。
「やっぱりね」
「そうなんだ。ビールも」
「イギリスって本当に何でもまずいんだね」
「美味いものを食いたければ自分で作ることじゃよ」
博士はここでまた妖怪達に言ってきた。
「自分でな」
「お店のは?」
「美味い店なぞない」
断言であった。
「何一つとしてな」
「ああ、やっぱりね」
「これまでの話でそれはわかるよ」
皆も実によく納得する博士の今の言葉であった。
「自分で作るしかないんだ」
「困ったなあ」
「自分で作るしかないか」
牧村はこれまで周りの話を黙って聞いていたがここで言うのだった。
「イギリスで美味いものを食いたければ」
「まあ結果としてそうなるんじゃよ」
博士は今度は牧村に対して述べた。
「料理のメニュー自体は悪くはない」
「メニューはか」
「素材もな」
それもであった。この二つはいいのだという。
「しかしじゃ。問題は」
「作り手か」
「これが悪くてはどうしようもない」
料理に関する自明の理であった。どれだけメニューや素材がよくとも作る人間がまずくてはそれで料理はおしまいになってしまうものなのだ。
「逆はあってもな」
「そうだな。メニューや素材が悪くても腕でカバーできたりはする」
「しかし料理人が悪ければ終わりじゃ」
「料理漫画の基本だな」
こうした展開も多いのが料理漫画というジャンルである。素材で劣ってもその腕やアイディアでカバーして勝利を収めるというのもよくある展開の一つなのだ。
「それはな」
「流石にわかってくれておるのう。それでじゃ」
「それで?」
「君もそれは同じじゃな」
ここで牧村に話を振るのであった。
「幾ら強い天使になり力を手に入れようとも」
「俺自身が強くなければ駄目か」
「そういうことじゃ。相変わらず鍛えてはいるな」
「それは欠かしていない」
はっきりと博士に答えた。
「毎日な。やっている」
「いいことじゃ。やはり相手は強い」
魔物達についても言及
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