第十話 権天その四
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「もう日本に比べたらね」
「そんなに凄いんだ」
「巻き寿司がお握りなんだよ」
子泣き爺の問いに応えてその老人は述べた。
「天麩羅のね」
「お寿司がお握り!?」
「そうなんだよ」
「それは嘘だよ」
「そうそう」
周りの日本の妖怪達が彼の言葉を否定する。
「幾ら何でもそんなの間違えないし」
「見間違いじゃないの?」
「いや、その通りじゃよ」
ここで博士が言い合う彼等に対して述べたのだった。
「それはわしもイギリスで見たぞ」
「あれっ、本当なの!?」
「そんな馬鹿みたいな食べ物がイギリスにはあるんだ」
「レプラホーンの言う通りじゃ」
その老人を見ての言葉だ。
「あるのじゃよ、イギリスには」
「お寿司がお握りになるって」
「イギリス人って凄いね」
「全然別の意味でね」
「あれもまた才能じゃ」
皮肉抜きの言葉であった。
「あそこまで見事なあれな料理を作れるのもな」
「あれなんだ」
「あれとしか言い様がないのう」
あえて肝心の部分はぼやけさせているがその意味もない言葉であった。
「あれではな」
「きついね、それって」
「レプラホーンも大変だね」
「イギリスにいた時はイギリスが普通だって思っていたんだよ」
レプラホーンは皆に応えてこう述べた。
「それでもね。日本に来たら」
「わかったんだ」
「味っていうのが」
「まあそうなるね」
周りの同じ妖怪達の言葉に頷いた。
「日本は食べ物が美味しいよ、本当に」
「それはまあね」
「その通りだね」
「確かに」
周りの妖怪達も彼のその言葉に頷くのだった。そのうえでさらにそのレプラホーンに対して言う。彼等も食べ物に関してはかなりの興味があるようである。
「特にね」
「特に?」
「そう、大阪」
この都市の名前が出された。
「大阪が一番美味しいかな」
「そうだね、やっぱり」
「この神戸もいいけれどね」
「大阪が一番いいんだ」
レプラホーンは彼等の言葉を聞いてその大阪に興味を抱いたのであった。
「ふうん、じゃあ今度一度行ってみようかな」
「ああ、そうしたらいいよ」
「是非ね」
「そうだね。それじゃあ」
また皆の言葉に頷くのだった。
「一度行ってみるよ」
「とりあえず何でも美味しいから」
「何でもね」
皆は彼にこうも述べた。
「特にたこ焼きかな」
「たこ焼き!?」
「そう、それ」
「蛸を小麦粉の中に入れて丸く焼いたものなんだよ」
たこ焼きについてこう説明が為されるのであった。
「それがまた美味しくてね」
「是非食べたらいいよ」
「あときつねうどんかな」
「ああ、それは食べたことあるよ」
きつねうどんについてはレプラホーンも知っているのだった。
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