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髑髏天使
第九話 氷神その十七
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「完全にな。こうなっては認めるしかない」
「安らかに眠れ」
 自身が放った炎とは別の紅蓮の炎に包まれていくマニトーに対しての言葉であった。
「その炎の中でな」
「うむ。では髑髏天使よ」
 マニトーは最後の力で髑髏天使に告げてきた。
「さらばだ。永遠にな」
 こう言うとその紅蓮の炎の中に消えた。こうしてマニトーは完全に死んだのであった。
 闘いが終わるとそれまで晴れ渡っていた空が急に曇り。雨が降ってきた。雨は炎を忽ちのうちに完全に消し去ってしまい。髑髏天使の身体もまた濡らすのであった。
「雨か」
 髑髏天使はその雨を見上げて顔でも受けた。そうしてそうしながら牧村に戻るのだった。「これは少し参ったな」
 その雨を見つつの言葉だった。
「あいつへの見送りがな」
 そう呟くとここで携帯が為った。とりあえずは階段に入りそこでそれを手に取ったのだった。まだ髪も顔も濡れたままである。電話の主は未久であった。
「お兄ちゃん、今凄い雨が降ってるんだけれど」
「ああ、そうだな」
 素っ気無い声で妹に返した。さっきまでのことはその素っ気無さに完全に隠している。
「かなりだな。これは」
「だから。今お母さんから連絡来たんだけれど」
「母さんからか」
「うん。車で迎えに来てくれるって」
 このことを兄に話すのであった。
「だからね。悪いけれど今日は」
「わかった」
 それから先は言うまでもなかった。納得の言葉を返す牧村だった。
「そういうことだな。じゃあ今日はな」
「うん。ところでお兄ちゃんはどうするの?」
「俺か」
「そうだよ。ここまでの大雨だとやっぱり」
「俺は大丈夫だ」
 だが彼はこう妹に言葉を返すのだった。
「俺はな。心配はしなくていい」
「何でなの?」
「帰るのが遅い」
 何故か今このことを未久に話すのだった。
「だからだ」
「それでなの?」
「御前は今から帰るんだな」
「うん」
 兄の言葉に電話の向こうで頷いた。
「そうよ。だから電話してるんだけれど」
「俺は時間をずらす。そうして帰る」
「雨が止むのを待つのね」
「これだけ強い雨はそうは続かない」
 雨は強ければ強い程止むのも早いものだ。それを踏まえての言葉であるのだ。
「だからだ。わかったな」
「そうなの。じゃあお兄ちゃんは大丈夫なのね」
「そういうことだ。俺はな」
「わかったわ。じゃあまたお家でね」
「ああ」
 こうして携帯電話での話を終えた。電話を切りそれを懐に収めると。階段のところから見える雨はまだ勢いよく降り続けている。しかし彼はそれは長くないと見ていた。
「強い雨も一瞬ならば闘いも一瞬のことだ」
 その豪雨と己の闘いを重ね合わせた。
「だが。その一瞬で全てが決まる。何もかもな」
 こう言い残して階段
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