第九話 氷神その十三
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「階級が上がるとはな」
「俺も思いもしなかった」
髑髏天使にとってもであった。
「だが。この力」
その全身にみなぎる力を感じ取っての言葉である。
「この力なら。俺は」
「くっ・・・・・・」
今度はマニトーが唸っていた。立場が逆転してしまっているのをここで彼自身も認めざるを得なかった。非常に忌々しいことであったが。
「勝てる」
髑髏天使は言った。
「貴様にもな。確実にな」
「させるものか」
だがマニトーもまだ諦めてはいなかった。剣呑な声でこう述べたのであった。
「それはな」
「ではどうするつもりだ?」
「場所を変える」
こう言うのだった。
「そこで。貴様を倒す」
「ほう」
その言葉を聞いて目を光らせた髑髏天使だった。髑髏の中にあるその両眼が光ったのが見えた。
「そうか。そこでか」
「そうだ。そこは」
「何処だ?」
「上だ」
こう言った。
「上で待っている。それではな」
「むっ」
ここまで言うと姿を消してしまったマニトーだった。まるで煙のようにすうっと消えてしまった。後に残っているものは何もなかった。
髑髏天使は彼が消えるのをまず見送っていた。しかしその姿が完全に消えてしまったのを見届けてすぐに。その気配を上に察したのだった。
「屋上か」
場所もわかった。後は行くだけだった。階段を登り屋上にいるとやはりいた。空を背にして屋上にその巨大な姿を晒している魔物が。
「来たな」
「来いと言われたからな」
屋上に出てすぐに身構えつつそのマニトーに言葉を返した。
「だからだ」
「そうだな。それではだ」
「ここで俺を倒すというのか」
「貴様に糸は通じないのはわかった」
それも合わせて言うマニトーだった。
「それはな」
「だが諦めないというわけか」
「俺は諦めが悪い」
自分でそれを言ってきたのだった。
「それもまず言っておこう」
「蜘蛛の姿をしているからではないようだな」
「蜘蛛は関係ない」
それはないとも述べた。
「ただ。俺がそうであるだけだ」
「そういうことか。それはわかった」
そこまで聞いて納得した髑髏天使だった。既に赤い鎧を着た大天使の姿になっている。その剣も燃え上がらんばかりに紅になっている。
「だが。俺も」
「貴様も?」
「ここで決着をつけたくなった」
両手に持つ二本の剣を手にマニトーに告げた。
「今ここでな。終わらせる」
「それは俺も同じ考えだ」
マニトーもまたその両眼を赤く光らせ言うのであった。
「俺もまた」
「では。来い」
マニトーに対する言葉だ。
「ここで切ってやる」
「言われずともだ。行くぞ」
早速動きだしたマニトーだった。その動きは巨体からは想像できないまでに俊敏で滑るようだった。その動き
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