第九話 氷神その十一
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「しかし。敗れる覚悟はしていない」
「あくまでそれはないというのだな」
「その通りだ。では行くぞ」
「むうっ!?」
「糸が来たならば」
右手を一旦上から下に振るった。するとそれで彼の右手に剣が現われたのであった。
「それを防げばいいだけだ。違うか?」
「真理だ」
マニトーも今の髑髏天使の言葉自体は褒めた。
「その通りだ。害を為すものに対しては防ぐ。
「だからこそ俺は」
「だが」
「だが!?何だ」
「それがいつも正しいのは限らないのだ」
笑みに不気味なものを戻らせての言葉だった。
「では試しに切っているといい」
「この糸をか」
「そうだ」
髑髏天使を挑発するような言葉だった。
「それはそう簡単に切れるものかどうか」
「自分で確かめてみろというのだな」
「如何にも」
「そして」
マニトーはまた言った。
「こうしたこともあるのだ」
「むっ!?」
「糸は一つから出すとは限らない」
八本の足のうち真ん中の四本を掲げてきた。蜘蛛の足とは全く違う、間接が逆になった動きであった。その動きで足を掲げると。その先からあの白い糸が再び出て来たのである。
「糸が・・・・・・そこからも」
「俺は人ではない」
魔物はその糸を再び見ながら述べる。
「魔物だ。それならばこうしたとしても不思議ではあるまい」
「常識なぞ通用しないということだ」
「如何にも。それではだ」
また言うマニトーであった。
「この糸で」
「来るか」
自分を囲むその糸達を見つつ呟く。
「今ここに」
「死ぬがいい」
マニトーの言葉に勝ち誇るものが少しだが宿った。そして。
周りに漂う糸達が一斉に彼に襲い掛かる。そのまま間合いを詰めてきたのだ。何の為にそうしてきたのか。それも言うまでもなかった。
「そうか。このまま」
「わかっていても動けまい」
マニトーはまた勝ち誇った声で彼に告げてきた。
「こうなってしまっては。そうだな」
「それはどうかな」
しかし彼は髑髏天使としての誇りをあくまで疑わなかった。
「そう易々といくか」
「俺は蜘蛛だ」
マニトーは言う。
「しかもただの蜘蛛ではない」
「蜘蛛と魔物は違う」
髑髏天使もこう返す。
「当然だと思うが」
「糸もまた然りだ」
マニトーが言いたいことはこれであった。
「わかるな。だから貴様は」
「このまま捕らえられ死ぬか」
「その通りだ。死ぬのだ」
死という言葉が繰り返される。
「さあ。今こそ」
「ふん」
だがここで。髑髏天使の身体がまた輝いた。
その背中から翼が現われ左手にサーベルが逆手に握られる。大天使の姿であった。
「言ったな。俺には敗れる覚悟はない」
「それはさっきも聞いた」
「こういうことだ」
彼は
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