第九話 氷神その五
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「そこまではな、しかし増えるようじゃ」
「増えるのは間違いないか」
「どうやらな。しかしこの本に書いてあるのは天使についてだけじゃ」
「それだけか」
「魔神については全く書かれておらんな」
困った顔をして述べる博士であった。
「今のところわかっておるのはあの二柱だけじゃ」
「その百目と九尾の狐だけか」
「そのな。二柱だけじゃ」
あらためて言う博士だった。
「じゃが。どうやらその中で百目はじゃ」
「あの老人がか」
「魔神の中心人物のようじゃな」
語る博士の目が鋭いものになった。
「どうやらな」
「そうなのか」
「十二魔神といってもやはりそれぞれの役割がある」
博士は言う。
「その中でな。百目は最長老でもあるようじゃしな」
「だからまとめ役なのか」
「そのようじゃ。従ってその魔力も」
「相当なものだな」
「それは君が一番わかっておると思うがのう」
今度は牧村を見る。その鋭くなっている目をだ。
「違うかのう」
「いや、多分そうだ」
そして牧村もこう返すのだった。
「それについては。やはり俺が」
「そうじゃな。わしは百目とは会っていない。だからわからん」
「会ってみればわかる」
牧村はあえて静かな、落ち着いた声で述べた。
「その魔力がどれだけのものかな」
「そうか。それだけのものがあるのじゃな」
「俺も。今は勝てない」
自分でもそれを認めた。
「今はな。間違いなく敗れる」
「それがわかっておるのなら今はじゃ」
「そうだな。向かうことはできない」
「とりあえず今は目の前の魔物を倒すことじゃ」
博士としてもこう言うしかなかった。その魔神を倒せないのならば。やはりこう述べるしかなかったのであった。倒せないのならば。
「よいな。それで」
「わかっている。それにしても」
頷いたうえでまた述べる牧村だった。ただし話題は変えている。
「十二魔神だったな」
「そうじゃ」
牧村のその言葉に頷いてみせた。
「十二柱じゃよ」
「あと十柱いるのか」
牧村は呟くようにして述べた。
「ああした存在が」
「今はまだ二柱じゃ」
「しかしこれからはおそらく」
「出て来るぞ」
ここでも牧村の目を見ていた。
「後の神々もな」
「この日本に集まるのか」
「君がいる場所にじゃ」
それこそが日本なのだが博士は彼が髑髏天使であることを指し示す言葉として述べたのであった。彼が髑髏天使であることが全ての発端だからだ。
「必ず来る」
「何時か倒すか」
「まだ先になるがな」
「それは心に定めておく」
そして静かに頷く牧村だった。
「それはな。それではだ」
「講義か」
「ああ。それが終わったらまた来る」
立ち上がりながら博士に述べた。
「またな」
「あ
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