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髑髏天使
第九話 氷神その四
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「到底な。じゃから注意しておくのじゃ」
「少なくとも今の俺では相手はできないか」
「その前に向こうも相手にはしておらんと思うが」
「確かにな」
 今の博士の言葉には牧村も真剣な顔で頷くだけだった。
「配下の魔物を向けて来るだけで直接は何もしては来ない」
「少なくとも大天使には何もしては来ぬな」
「大天使ではか」
「前にも言ったが天使には九つの階級がある」
 またこの話になった。
「大天使は二番目じゃな」
「下からだな」
「まあその言い方は少しあれじゃが」
 今の牧村の身も蓋もない率直どころではない言葉には苦笑いするしかなかったがそれでもその通りだった。しかし博士はそれでも言葉を続けた。
「それでもじゃな。まだまだ上がある」
「そうだな」
「大天使は翼が生えた」
 それが大天使の力の最も大きな特徴である。
「しかしそれ以上はまだな」
「わかっていないか」
「うむ。今調べている途中じゃ」
 こう牧村に述べたのであった。
「まだな。少し待っていてくれ」
「わかった。では待たせてもらう」
「今また天使の本を読んでおる」
 言いながら今開いているその本を見るのであった。
「これをな」
「そこにまた書いてあるのか」
「色々とな。しかしそれでもまだよくわからん」
 書にある文字を見つつ難しい顔をする博士であった。
「どうにもな。よくはのう」
「それは何語だ?」
「アイルランド語じゃ」
「アイルランド語か」
「十一世紀の書じゃな」
 また随分と古い時代の本なのがわかる。
「その時代の書じゃよ」
「十一世紀か」
「その頃はまだイングランドに征服されておらんかったからな。こうしたアイルランド語の本もちゃんと存在しておるのじゃよ。ラテン語でもないものがのう」
「ゲール語だったな」
 牧村はアイルランド語の正式名称を口にしてきた。
「確か。そうだったな」
「左様。その名前も知っておったか」
「名前だけだがな。しかしアイルランドか」
「うむ」
「あのナックラ=ビーは確か」
 先に闘ったあの魔物のことをここで思い出しつつ述べた。
「妖精に入っていたな」
「そうじゃな。あれはスコットランドか何処かの妖精じゃった」
 博士も彼の今の言葉に答える。その間もずっとそのゲール語の書を読んでいる。その文字の筆記もかなり独特だがそれでも読んでいた。
「近いといえば近いのう。アイルランドに」
「そうだな。しかし」
 彼はまた言うのだった。
「その本に書かれているのはまた別だな」
「天使のことじゃからな」
 博士はここでまたその書を見た。
「ふむ。大天使じゃが」
「今の俺か」
「その翼は二つじゃが」
「翼か」
「やがて増えるとも書かれておるな」
「翼がか」 
 己の翼が増えると
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