双葉時代・対峙編<前編>
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らした。
「――っく!」
重いっ!
何とか防いだものの、相手の尋常でない膂力に肝が冷える。
まず間違いなく防がなければ、鎧を裁って私の身を切り裂いていただろう。
「っと、これで、どうだ!」
大きく吠えながら、交差したままの相手の太刀を上手く受け流して、体勢を崩させる。
そこに蹴りの一発を加えてみたのだが、交差した両手にガードされてしまう。
だが、そうする事で相手は手にしていた太刀を手から落とさずにはいられない。
「木遁・大樹林の術!」
片腕を巨木に変化させて、そのまま高速で相手を追撃する。
この奥深い霧の中ではこの攻撃を躱せまい。そう思っての一撃だったのだが、相手は私の術をこの不明瞭な視界の中で容易く交わしてみせた。
相手はこの霧の中で攻撃を躱すだけの能力を持っている。――となれば、戦いが長引くと困るのは私だ。
「土遁・土中潜航!」
とにかく、自分の周りに敵がいるのは分かっているのだ。だとすればその動きを止めてしまえばいい。
乱戦状況である現状、再度の樹海降誕を始めとする派手な技は同時に味方を傷つけてしまう恐れがあるので使えない。しかし、私は確かに木遁使いではあるが、木遁忍術の他にも使える忍術はあるのだ。
思った通り。
私が木遁以外の忍術を使うと予想していなかったのだろう。相手が微かに動揺する気配が感じ取れた。
土中潜航は自分の周囲を泥沼化する事で相手の動きを止め、逆に使用者の高速移動を可能とする術だ。案の定、相手は液状化した泥に足を取られたようである。
同時に、何かが鋭く空を切る音が聞こえて来た。
それが意味する事に気付いた私は、低く腰を落とした。
今のは扉間が一族の者達をこの場から退散させた事を示す合図だ。――となれば遠慮は無用。
「悪いが、一気に片を付けさせて貰おう!」
この謎の敵の正体を確かめたい気持ちもあったが、戦場でそのような私情を挟む訳にはいかない。
初めて感じる名残惜しさを自分でも意外に思いながら、高速で印を組む。
使うのは先程の樹海降誕の更に上の段階の秘術。あまりに繊細なチャクラコントロールを必須とし、自身のチャクラを生命の源として、大規模な森林を地上に出現させる技。
「――木遁・樹界降誕!」
地面が勢い良く隆起し、先程とは比較に成らない量の木の根が無数に群生していく。
しかし、それすらも本当に一瞬の出来事。ただの草原だった地表を巨木が埋め尽くし、その場に巨大な森を作り上げる。
自分の足下より生えて来た木々の一本に飛び移り、そのまま勢いに任せて伸びていく木に乗った状態で、私は眼下の戦場を見下ろした。
「……取り敢えず、決着は付いた様だな」
「――安堵するには早すぎるの
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