第八話 芳香その十七
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やまないものだから」
「だからこそここで闘うというのだな」
「ええ」
恍惚とした声は続く。
「その通りよ。それでいいわね」
「構わない」
どうでもいいといったような牧村の言葉だった。頓着すらない。
「俺は何処でも魔物を倒す。それだけだからな」
「そうなの。貴方には美をわかる心はないのね」
「美か」
牧村はその言葉に眉をぴくりと動かした。
「それは俺にもある」
「では何故この美を否定するというの?」
夜の闇を堪能しつつ牧村に問う。
「この至上の美を」
「言った筈だ。俺は昼の世界にいる」
これが牧村のアルラウネに対する言葉だった。
「そこに俺の美はある」
「そうなの。今ではなくて」
「確かに闇には闇の美がある」
牧村もそれは否定しない。
「だが」
「だが?」
「俺が好むのは光。光の美だ」
言いながらそれまでポケットに入れていた両手を出す。それをゆっくりと身体の前に出していく。
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