最終話 日常その十二
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「なら食べるか」
「御邪魔します」
兄がこう言ったところでだ。妹が来た。
そうしてそのうえでだ。兄の前まで来て言うのだった。
「お兄ちゃん、ザッハトルテもうできてる?」
「今切り終えたところだ」
妹に顔を向けてそうして話す。
「食べられるぞ」
「わかったわ。じゃあ最高のタイミングだったのね」
「そうだ。いいタイミングだ」
そうだとだ。妹に話す。
「では皆で食べよう」
「そうしましょう。ねえ」
若奈が牧村のその言葉を聞いて笑顔で彼に言ってきた。
「これからもね。一緒に作っていきましょう」
「そうだな。二人でな」
「ずっとね」
こう話してなのだった。二人はだ。
笑顔で、牧村も微笑みになってだ。それでだった。
ザッハトルテを一同に配り。フォークを手に取ってだった。
「食べるとしよう」
「皆でね」
「戦いは終わった」
牧村は誰にも聞こえない小さな声で呟いた。妖怪達や魔神達にさえ。
「俺はこれから。日常の中で生きる」
若奈も見る。そしてまた呟いた。
「ここで。楽しくな」
「いい感じだな」
死神はそのザッハトルテを見ながら言う。
「この雰囲気は」
「いいか」
「人間の雰囲気だ」
それだとだ。牧村に話すのだ。
「これこそがな」
「人間の日常だな」
「貴様がいるべき世界だ」
こうも言ってみせるのだった。
「まさにな」
「俺が人間だからだな」
「その通りだよ」
目玉も言ってきた。ただしそれは死神の口からの言葉だ。
「人間はやっぱり人間としてね」
「楽しく生きるべきか」
「楽しいだけの世の中じゃないけれどね」
目玉の言葉は哲学的な色も有る。その中でだ。
彼はだ。牧村にさらに話すのだった。
「それでも。楽しくね」
「過ごすのがいいか」
「そうだよ。過ごそう」
こう牧村に言うのである。
「楽しくね」
「そういうことだ」
すぐにだ。死神も言ってきた。彼の口からの言葉であるのは言うまでもない。
「だからこそいいのだ」
「それでだな」
「そうだ。では私もだ」
「ザッハトルテを食べさせてね」
また目玉も言ってきた。
「貴様のそのザッハトルテな」
「食べさせてもらうよ」
「何か格好いい人いるわね」
未久はその死神を見て言う。
「お兄ちゃんのお友達なの?」
「そういったところだ」
牧村が妹の言葉に答える。
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