最終話 日常その十一
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「それで碌でもない奴はわかる」
「目ね」
「その人の目を見ればいいのね」
「そういうことだ。それでわかる」
牧村はまた妹達に話した。
「その素性もな」
「成程ね。最近よく悪戯っ子みたいなのもよく来るけれどね」
「そうそう、来るわよね」
妹達の話がここで変わった。
「何か顔中白い髭だらけの小さいお爺ちゃんとね」
「それと眼鏡の綺麗な人と一緒にね」
「あれっ、その人って」
若奈はその二人の話を聞いてすぐにわかった。
「悪魔博士と秘書さんよね」
「そうだな。博士とあの人だ」
牧村も答える。ろく子の素性は隠してだ。そしてその悪戯者達のこともわかったのだった。
「それとか」
「それと?」
「いや、何でもない」
ここから先は言わないのだった。そんな話をしているとだ。
その博士とろく子、それにだった。
妖怪達も来た。一応人間に化けてだ。そうして来たのだった。
「おお、頑張ってるな」
「何よりですね」
博士とろく子が陽気に笑って挨拶してきた。人間になっている妖怪達もだ。
「ケーキ買う前に来たけれどね」
「元気そうだね」
「楽しくやってるんだね」
「ケーキ。そうだったな」
牧村はそのケーキの話をここで思い出した。
「帰ったら。そうだったな」
「そうそう、デコレーションケーキね」
「牧村さんと一緒に食べるあれね」
「あれを買う前に来たんだ」
「コーヒーを一杯飲みにね」
「何よりだ。それに丁度いい」
牧村は彼等にも言うのだった。
「ザッハトルテはある」
「ほう、ザッハトルテか」
ザッハトルテと聞いてだ。博士も笑顔になる。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「それはよいのう」
「そうですね。ケーキの前にケーキになりますけれど」
「それもまたよい」
ろく子にもにこにこと話す博士だった。
「それではじゃ。貰えるか」
「わかった。それではだ」
牧村はナイフを切ろうとした。そこでだった。
また客が来た。今度はだ。
死神だった。あの黒い皮のジャケットとジーンズだ。その格好で店に来た。
その彼はカウンターに座りだ。牧村に言ってきた。
「約束は守った」
「そういうことだな」
「そうだ。来た」
こう彼に言うのだった。
「では貰おうか」
「相棒はいるか」
「私の中にいる」
目玉についても話す。
「だから共に味わうことができる」
「そうか。ならいい」
「それでだが」
この話の後でだった。彼、正確に言えば彼等もそのザッハトルテを待つのだった。
その彼の次にはだった。あの来客達だった。
「あっ、あんた達も?」
「あんた達も来たんだ」
「このお店に」
「はい、そうです」
老人がだ。妖怪達に答えた。
「私達も約束しましたので」
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