暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
最終話 日常その十

[8]前話 [2]次話

「牧村君が作ってくれたね」
「それよね。待ってたのよね」
「そうそう、どんな美味しいんだろうってね」
「それがいよいよね」
「食べられるわね」
 二人は笑顔で話すのだった。そうしてだ。
 さらにだ。こんな話をするのだった。
「未来のお義兄さんのお菓子ね」
「楽しみにしてるから」
 こう話してだった。二人は牧村のザッハトルテを楽しみにしていた。しかしここでだ。
 彼はだ。若奈の妹達にこう言うのだった。
「少し待ってくれるか」
「少しって?」
「待ってって?」
「未久も来る」
 まずはだ。自分の妹の名前を出すのだった。
「あいつもこの店に来る」
「ああ、未久ちゃんもですね」
「来られるんですね」
「それまで待ってくれ」
 こう二人に言うのだった。
「そうしてくれるか。他にも来るしな」
「他のお客さんもですか?」
「来られるんですか」
「多分来る」
 そうだというのだ。
「だからそれまでだ」
「誰なんだろ」
「気になるわよね」
 牧村の今の言葉にだ。二人は顔を見合わせて話した。
「大勢かな」
「お客さんよね」
「お客さんが一杯来てくれるのは嬉しいけれどね」
「お店にとってはね」
 喫茶店の娘としてだ。二人共妥当なことを話した。しかしそれでもだ。それで誰が来るかと言うとだ。そのことはどうしてもわからないのだった。
 それでだ。こう話すのだった。
「ううん、怖い人だったらどうしよう」
「あっちの筋の人とかね」
 所謂暴力団員の危険も考える。
「最近一目でそれだってわかる人は少ないけれど」
「どうなのかしら」
「目でわかる」
 牧村が二人に話した。
「そうした人間はだ」
「目?」
「目なの」
「そうだ、目だ」
 そこでだ。わかるというのだ。
「目でわかるものだ」
「目でなの」
「それでわかるの」
「目は全てを語る」
 牧村はまた話した。
「その人間の本質を語るのだ」
「それよく言われるわよね」
 若奈も彼のその言葉に頷いて言う。
「心が綺麗な人は目も澄んでいるって」
「目の濁っている人間はだ」
「心も濁っているのね」
「そういうことだ」
 まさにそうだというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ