第六十話 最終その十二
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「そういうことになる」
「その通りだな。ではだ」
「闘うとしよう」
そのだ。はじめての闘いでだというのだ。
「思考というものを捨てて」
「そのうえでな」
魔神達もそうすることにした。そして彼もだ。
髑髏天使も構えない。両手に剣をだらりと下げて持ったままでだ。そのうえで混沌の中に浮かんでいた。それだけなのだった。
その彼にだ。影が来る。そのうえでだった。
影はだ。髑髏天使に対して問うた。
「来ないのか」
「何度も言うが行くことはしない」
こうだ。影を見て言うのだった。
「行くことはここでは考えることだ」
「だからしないのか」
「俺は考えることを捨てた」
このことは変わらないというのだ。
「そういうことだ」
「そうか。なら俺はだ」
「考えるか」
「俺は貴様だ。考えることができる」
混沌の存在であっても鏡であり髑髏天使自身であるからだ。それができるというのだ。彼をそのまま全て映し出したものであるからだ。
「だからだ」
「それでか」
「そうだ。考えそのうえで」
そしてだというのだ。
「勝つ」
「勝つ為に考えるか」
「貴様とは逆になる」
勝つ為に考えを捨てている髑髏天使とはというのだ。
「それを言っておこう」
「有が勝つか無が勝つか」
そうした話にもなっていた。考えることが有とするならだ。
「それがわかるな」
「有が勝つ」
ここでだ。影は過ちを犯していた。それを言葉に出してしまっていた。
「それは決まっていることだ」
「有がか」
「無が有に勝てるか」
影は言うのだった。
「それは無理だな」
「その言葉否定しないな」
「否定する必要はない」
影は今度は断言したのであった。
「その必然性も見出さない」
「確かに言ったな」
髑髏天使は影のその言葉を繰り返し問うた。
「有が無に勝つと」
「そうだ。何度でも言おう」
「わかった。それではだ」
「それではというのか」
「その言葉が正しいかどうか」
それをだというのだ。
「それを見せてやる」
「それが貴様が勝つということだな」
「如何にも。それではだ」
どうかというのだった。そしてだ。
彼等はだ。衝突した。その中でだ。
髑髏天使はだ。無意識の中でだ。
考えることなく、流れる動きでだ。その両手にある剣を。
一閃させた。右に左にだ。その一撃でだ。
影、彼自身を斜めからそれぞれ斬った。影を斬るとだ。
その斬った場所からだ。闇が噴き出した。それは血ではなかった。
「混沌か」
「そうだ、それだ」
そうだとだ。影も言うのだった。
「これは混沌だ。俺は何か」
「影だ」
髑髏天使はすぐにその言葉に返してみせた。
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