第五十九話 精神その十
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そしてだ。そのうえでだった。
「ではこのまま滅びよう」
「それで終わりか」
「滅びるのが事実なら受け入れるだけだ」
こう言うだけであった。
「それだけだ」
「潔いのではないな」
「安心しろ。それは感情だ」
「感情ならばか」
「我にはないものだ」
「そうしたものも全てか」
「そうだ、ない」
神は言い切った。有無を言わさぬまではっきりと。
「全くだ」
「だからそうしてか」
「滅びるのならそれを受け入れる」
そうだと答える神だった。
「それだけだ」
「では、だな」
「このまま滅びる」
言いながらだ。その気配がだった。
消えていく。そうしてであった。
神は滅んだ。その気配が完全に消えてしまった。
それを見届け感じ取ってからだった。髑髏天使は仲間達に話した。
「では。いよいよだな」
「そうだ、最後だ」
「遂にだね」
死神と目玉が髑髏天使のその言葉に応えて話す。
「最後の神アザトース」
「そいつとの戦いだよ」
「長い戦いもこれで終わりになるか」
髑髏天使のその言葉に感慨が宿る。
「いよいよか」
「はい、思えばです」
百目がその髑髏天使に話す。
「私達と貴方達が最初の敵味方でした」
「それが変わったな」
「我々魔物は元々五十年に一度その行動を活発にさせ」
「同時に出る髑髏天使と戦う」
「それを楽しみとしていました」
こうだ。髑髏天使に話していくのであった。
「ですがそれが変わりました」
「他の楽しみを知ったか」
「私達の場合は思い出したと言うべきか」
「思い出したか」
「はい、思い出したと言うべきでしょうか」
これが百目の今の言葉だった。
「この場合は」
「思い出したか」
「魔物は元々は妖怪でした」
この事実が話される。魔物と妖怪の関係についての話だ。
「しかしそれがです」
「大きく変わったな」
「はい、変わりました」
その変わったものが何かというとだった。
「戦いを知り魔物になりました」
「しかしこの時代にいてだな」
「私達は楽しみを知りました」
そうだったというのである。そうした風に戻ったというのだ。
「そしてです」
「そしてか」
「私達はこの戦いが終わればもう戦うことはありません」
「そうするのだな」
「はい、遊びの中に戻ります」
妖怪達と同じ楽しみの中にだ。それに戻るというのだ。
「そうしますので」
「ではだ。髑髏天使の戦いもか」
「おそらく貴方で最後になります」
百目はまた話した。
「ただ、です」
「ただ、何だ」
「魔物との戦いは終わりますが」
「妖魔、そして混沌の神々はか」
「彼等はまた蘇るでしょう」
不滅だというのだ。彼等はだ。
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