第五十八話 嘲笑その十
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「それだな」
「そうだね。普通はないもの」
「それを出すか」
「混沌にないものはだ」
それが何かとだ。神は話すのだった。
「秩序とそれに連なるものだけだ」
「それ以外はあるというのか」
「秩序により多くの摂理が定められてしまった」
それを形作るのが秩序だからだ。それでだというのだ。
「こうしたこともだ」
「決められできなくなったというのだな」
「闇の光もあればだ」
神は再び羽ばたいた。するとだ。
今度はだ。虹が出た。七色の虹だ。
しかし普通の虹ではなかった。輝きがないのだ。とはいっても絵画等にある絵でもなかった。色があって色ではない。そうした虹だった。
その虹を放ってからだ。神はまた言うのだった。
「色のある闇もまただ」
「どちらもあるというのか」
「その通りだ。混沌にはこうしたものもある」
「色のない光も。色のある闇もか」
「混沌の中にはあるのだ」
こう髑髏天使達に話すのだった。
「そしてこの光と闇でだ」
「どうする。俺達を飲み込むか」
「そうさせてもらう。受けてみるのだ」
言いながらだ。神はだ。
己の羽ばたきから放たれた色のある闇の虹をだ。髑髏天使達に対して弓矢にして放った。そうしてだ。彼等を襲ってみせたのである。
その攻撃に対してだ。まずは百目が言った。
「かすりでもしましたら」
「危ないわね」
「はい、それだけであらゆるものが消えてしまいます」
こうキリムに話す百目だった。
「まさにです」
「では。ここは」
「かわすか。それか」
「こうするしかないわね」
キリムは己の七つの口から光を放った。秩序の世界のそれをだ。
そしてその光達でだ。闇の虹の矢を相殺するのだった。
それを見届けてからだ。彼はまた言った。
「相殺するかね」
「その通りです。受ければそれだけで終わりです」
「そうね。それならね」
「かわすか相殺しましょう」
百目もだ。その無数の目から光を放ってだった。
虹の矢を消していく。そうしながらだ。
髑髏天使、両手の剣を巨大なものにして振るう彼にだ。こう言うのである。
「ここはです」
「突っ込むのは止めるべきだな」
「それにはあまりにも危険ですから」
「そうだな」
髑髏天使も百目のその言葉に頷いた。
「ここは。まずはだな」
「守られるべきです」
「そうする」
こう答える髑髏天使だった。
「今はな」
「賢明ですね」
「勇気と無謀は違う」
ここでこうも言う彼だった。
「今はだ」
「勇気は出してもですね」
「無謀にはならない」
そうだというのだ。そしてだ。
髑髏天使は己の周りにだ。無数の虹の球体を出してみせた。それは七つの色で光り輝くだ。光から生まれた虹であった。闇のものではない。
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